犬の管理栄養士、Office Guriの諸橋直子です。手作りごはんを作り続けて19年です。
今回は「犬が痩せ気味で、もう少し体脂肪をつけたいけれどどうしたらいい?」という悩みに回答していきます。
14歳のシニア犬の場合Q&Aはこちら
「犬を太らせたい」とお考えの飼い主さんへの一般的なアドバイスはこちら

この記事の作成者:Office Guri 諸橋直子
SAE認定犬の管理栄養士アドバンス、JADP認定上級ペット看護士。
手作りごはん歴19年。犬の手作りごはん、アロマテラピー、薬膳など家庭でできる愛犬のケア普及のため活動しています。各種オンライン講座開講中。特に人気の犬の薬膳講座は受講者数250名を超える。犬の手作りごはんの専門Youtubeチャンネル(登録者数4,120名)運営中。
犬を太らせたい
今回はメルマガ読者の方からご質問をいただいたので、それに回答しながら解説していきます。
いつも興味深いメルマガを届けてくださりありがとうございます。
手作りごはんについて質問です。
我が家には14歳のシニア犬がいます。
身体の異常はなく、毎日食欲旺盛なのですが、
少し前から体重測定のたびに数百グラム単位で体重が減っています。
単に食事の量を増やすだけでは変わらず、かかりつけの獣医さんには高カロリーな食事をすすめられました。
以前「シニア犬の体重を増やす」という記事で、摂取カロリーを増やせば体脂肪を増やせると読みました。
もう少し脂肪がついてもいいかなと思う痩せ気味の場合、
摂取カロリーを増やす食事は適していますか?
その場合にはおすすめの食材を教えて頂きたいです。
(くーるさん)
いくつかにポイントを分けて回答します。
もう少し脂肪がついてもいいかなと思う痩せ気味の場合、
摂取カロリーを増やす食事は適していますか?
はい、適していると思います。
獣医さんが実際に診察した上でおっしゃっているので、やってみることをお勧めします。
その上で、食事内容をメモしておき、便の変化や体調の記録と合わせて、定期的に獣医さんと相談しながら進めていくのが良いでしょう。
体脂肪をつけるためのおすすめ食材は?
その場合にはおすすめの食材を教えて頂きたいです。
食事からの摂取カロリーを増やす、という場合、方向性は2つあります。
- 食事量を増やす
- 食事内容を変えて、量はそのままで高カロリーな食材の割合を高める
「1」についてはすでに実践されているとのことですので、今回は「2」の方向性で考えてみましょう。
食事内容の「たんぱく質(肉・魚・卵・豆類)」と「糖質(ご飯・芋類)」の割合を増やしてみてください。
アミノ酸バランスの良い食材を選ぼう=タンパク源
たんぱく質はアミノ酸バランスが良く、シニア犬でも体内で利用しやすいものがおすすめです。
老犬になると体内でのアミノ酸利用効率が下がります。これは食事から摂取したアミノ酸を体内で、筋肉や細胞、酵素などの必要なものを作るのに利用する能力が下がるということです。老犬になると筋肉が落ち、痩せやすくなるのはこのためです。
そのため、食物内に含まれているアミノ酸バランスが良いものを意識して選ぶのがおすすめです。
おすすめのタンパク源:
- 豚ロース
- 鳥もも肉
- 卵
- 納豆
速やかに血糖値を上げるエネルギー源は脂肪になりやすい=糖質
糖質の中でも速やかに血糖値を上げるタイプの食材を選ぶと脂肪になりやすいです。
おすすめの糖質:
- 白米
- パスタ
- うどん
脂質をプラス
エネルギー源として脂質をプラスするのもおすすめです。「植物オイル」の利用が手軽です。
- オリーブオイル
- ごま油
おやつでもエネルギーを摂取しよう
おやつの工夫でも摂取カロリーを増やせます。
バナナは糖質を多く含み、エネルギー源になる果物です。
ヨーグルトにはちみつをプラスするおやつもおすすめです。はちみつにはエネルギー源になるブドウ糖のほか、ビタミン、ミネラルも豊富に含む栄養食品です。
*ただしはちみつは1歳未満の子犬には与えないようにしましょう。今回のご相談は14歳のシニアということではちみつをおすすめしていますが、パピーには蜂蜜は適していません。
食事+おやつでカロリー摂取量を増やし、様子を見てみましょう。
体脂肪を増やすには「血糖値」を知ろう
「体脂肪を増やすコツ」
体脂肪が増える仕組みは、ものすごく簡単に言うと、血糖値を上げることです。
私たちの血液の中には一定量の「ブドウ糖」が溶け込んでいます。ブドウ糖は私たちの生命維持に欠かせないエネルギー源。いつでも細胞で利用できるように、血液に乗せて全身に運ばれていきます。
ところでこの血糖値、ある程度まで上昇すると「余剰分を中性脂肪に変えて蓄えましょう」という風に体が働きます。
こうして余剰分のブドウ糖は中性脂肪となり、脂肪細胞に蓄積されるわけですが
これが「ブドウ糖を取りすぎると肥満を招く」と言われる所以です。
なのでもし、「体脂肪が少ないのでもう少し増やしたい」という場合にはある程度、体の中でブドウ糖に変わりやすい食事を意識するのが効果的です。
血糖値を上げる食事
パスタやうどんは消化がスムーズで、すぐに血糖値を上昇させる食品として知られます。

スポーツ選手が試合前にパスタを好んで食べるのはこれが速やかにブドウ糖に変換され、血糖として血液中に放出され、すぐにエネルギーとして利用できるからです。
スポーツは激しく体を動かすので、その分エネルギーを消耗します。だからすぐにエネルギーになり、血糖値を上げるものがいい。
脂肪をつけたい場合は、この仕組みを利用しましょう。
適度な体脂肪は、健康維持にも大切
ある程度しっかり、血糖値を上げてくれる食品を選び体に蓄えられるようにする。
世の中では低脂肪やノンファットが好まれますが、体脂肪は健康を維持していく上で大切なものです。
多すぎても困りますが、少なすぎるとそれはそれで、風邪をひきやすくなどなどデメリットもあります。
なんでもほどほど、というものがあります。快適に過ごせて、なおかつ健康を維持できる病気になりにくい体脂肪率をキープできるのが理想ですね。
ブドウ糖については、こちらのサイトも参考にしてみてください。
ブドウ糖 | 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-030.html
「犬を太らせたい」とお考えの飼い主さんへの一般的なアドバイス
犬が痩せ気味である、または最近急に痩せてきた場合、はじめに獣医師へ相談することが大切です。体重減少の原因が病気である場合があるからです。そのため自己判断はせずに、病気の可能性をまず無くしてから家庭での食事改善に取り組みましょう。
以下は「病気ではなく摂取カロリーが少ないため体重が減っている、痩せ気味である」場合のアドバイスです。
元々色が細くて量を食べられない犬の場合:消化が良く胃腸が受付やすい食事の調整を
元々胃腸があまり丈夫でなく量を食べられない、食べても戻してしまったり下痢をする犬の場合、まず胃腸が受け入れやすい消化の良い食事を検討しましょう。
消化器サポートに特化したフードを検討してみよう
消化の良い食事の選択肢は様々です。フードの場合、消化器サポートに特化した製品、低脂肪、プレバイオティクス(腸内細菌のエサとなる成分)配合、獣医師監修の製品など多くの選択肢があります。
そのためフードの変更を検討するのもおすすめです。動物病院ではこうした特別なニーズに応えるフードを取り扱っている場合もあります。受診の際に相談してみましょう。
手作りごはんであれば、犬の体に合わせて消化の良い食事を調整できる
手作りごはんであれば、飼い主さん自身が材料を選び犬に合わせて調節できるので、体に合う食事に巡り会える犬が多いです。
ペットフードは健康な犬のために調整された食事です。栄養バランスが整えられており、面倒なカロリー計算などが必要ない点がメリットですが、お腹の弱い子にとっては下痢の原因となる脂質が一定量含まれています。
脂質は犬にとって必要な栄養素ですが、お腹の弱い犬にとっては下痢の原因となる場合があります。また脂質は消化に時間がかかる栄養素であるため、長く胃に留まり胃もたれを起こすケースがあります。そのため胃腸が弱い犬にとっては標準的なフードであっても、胃もたれや消化不良など不快感の原因となることもあり食欲不振につながります。
この点を手作りごはんは犬に合わせて調整が可能です。脂肪分の少ない赤身肉や白身魚を選ぶことで、高タンパク低脂質の食事を作ることができます。
エネルギー源となる糖質も、水を加えて加熱し消化しやすい形に整えたお粥が利用できます。
お粥はご家庭で簡単に炊くことができますし、市販の白がゆ(米と水だけで作った、味付けが一切ないもの)も利用できます。
お粥が難しい場合は、炊いたごはんをたっぷりの水で煮て作る「おじや」がおすすめです。
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