Office Guriの諸橋直子です。今回も
■ペットフードの表示が「人間並み」に?米国発、最新動向をご紹介
をテーマにお届けします。
前回の記事では、アメリカのAAFCO(米国飼料検査官協会)が中心となり進めている
『pet food label modernization (PFLM)=ペットフードラベルの最適化』
について
・栄養成分が四角で囲われたボックス表示になること(見やすい)
・栄養成分表示が「保証値(◯%以上など)」から具体的な「脂質:◯g」などの表記に変わること
の2点をご紹介しました。
今日は引き続き、以下の2つについて解説していきます。
・三大栄養素由来のカロリーの内訳を表記するルールが加わります
・食物繊維と糖質をわけて表記するルールが追加
1つずつ見ていきましょう。

ペットフードのカロリーについて、三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)由来のカロリーの内訳を表記するルールが加わります
ペットフードにはカロリーが表示されます。犬や人間がエネルギーとして利用できる、つまりカロリーがある栄養素は以下の3つです。
・糖質
・脂質
・タンパク質
この3つはエネルギーになる大事なものなので、特に「三大栄養素」と呼ばれます。
そしてフードのエネルギーが三大栄養素のどれにどのくらい由来するか?を詳しく表示しましょうというのが、このルールです。
ではこのようなルールがなぜ追加されたのでしょうか?
これはペットの世界でも「PFCバランス」が重視されるようになってきたことの表れと捉えることができます。
「PFCバランス?初めて聞きますがどういう意味ですか?」
と思った方もいらっしゃると思うので、これについて簡単に解説します。
PFCバランスとは?
PFCバランスとは、たんぱく質・脂質・糖質の摂取比率のこと。
・P=Protein(たんぱく質)
・F=Fat(脂質)
・C=Carbohydrate(糖質)
この3つの頭文字をとってPFCです。
ところでなぜ、この「PFCバランス」という概念が今、注目されはじめたのでしょうか?
理由は「エネルギーを取るにもバランスが大事」という概念が、健康に対する高い意識を持つ人々の間で重要視されはじめたからです。
生きていくにはエネルギーが必要です。でもだからといって、エネルギーだけとにかく摂れていればいいというものでもありません。
例えば、糖質は太りやすいと聞いたからエネルギーはタンパク質と脂質でとる!と極端な糖質カットをしてしまうと、すぐに活動に使えるエネルギーが足りなくなり、全身がだるくなったり、頭がぼんやりしてしまうなどの不調が起こります。
脂質は高カロリーだからダイエットの敵!と制限してしまうと皮膚の健康維持に必要な分までカットしてしまい、肌がカサカサになるなどのトラブルに見舞われます。
そのため、適切なバランスをキープした上で三大栄養素を摂取するのが理想的です。
これは健康的にダイエットしたい人や、効果的に筋トレで筋肉をつけたいボディビルダーなどの間で最初は意識されはじめた概念です。
それが少しずつ一般に浸透し、健康維持や適正体重を保つためにPFCバランスを意識した食事を摂ろうという人たちが増えてきました。
ちなみに人間のPFCバランスは、
・P=Protein(たんぱく質):13〜20%
・F=Fat(脂質):20〜30%
・C=Carbohydrate(糖質):50〜65%
とされています。数字に幅があるのは、年齢や性別、活動量などによって数値が変わるからです。
ちなみにドッグフードに含まれる三大栄養素の平均的バランスは、以下の通りです。
・P=Protein(たんぱく質):25%
・F=Fat(脂質):15%
・C=Carbohydrate(糖質):60%
ペットフードに三大栄養素由来のカロリー内訳を表記することで、飼い主さんは一目でそのPFCバランスがわかるようになります。
こうすることで、極端にバランスの悪いフードは淘汰される方向へ進むことが予想されます。
これはペットフードをカロリーだけでなく、PFCバランスまでしっかり目を向けて、愛犬の健康管理に生かしたいという犬の飼い主の意識の高まりの反映でもあります。
PFCバランスを明記することで、栄養について透明性の高い情報を飼い主が得られるようになるということなのです。
食物繊維と糖質をわけて表記するルールが追加
さてもうひとつ重要なのは
「食物繊維と糖質をわけて表記するルールが追加されること」
です。
読者の皆さんは、「炭水化物」という言葉をよく耳にすると思います。
実は「炭水化物」の内訳は「糖質」と「食物繊維」です。
「炭水化物」=「糖質」+「食物繊維」
何が言いたいかというと、糖質はエネルギーになります。食物繊維は基本的に、私たち人間や犬はエネルギーとして利用できません。
このようにエネルギーの視点で見ると異なる2つの栄養素を、きっちりわけて表記しましょうというのが新ルールです。
ではなぜそんなことが必要なのでしょうか?
理由はこの「糖質」と「食物繊維」の比率が、愛犬の健康管理に多大な影響を与えるからです。
たとえば炭水化物の内訳が「糖質」50%、「食物繊維」10%のフードであればエネルギーが多めです。成長期だったり、体重を少し増やしたい場合に最適なフードといえます。
これがもし「糖質」30%、「食物繊維」30%のフードであれば繊維が多めです。繊維が多いということは血糖値の上昇が緩やかになるということ、つまり太りにくい食事といえます。
上記の数字はわかりやすいように少し極端な数値で考えてみましたが、こんな風に「糖質」と「食物繊維」に着目することで目指す健康状態にフードが良い影響を与えるかどうかを飼い主さんが考える材料にすることができます。
こんな風にフードの含まれる栄養素の比率にも着目し、犬1頭1頭に合わせて食事を選べるように、このようなラベルについての新しいルールが考えられているんですね。
いかがでしょうか?
4つある変化の1つ目「栄養成分のボックス表示」についての解説は以上になります。深掘りしていくとかなり興味深い変更点ではないでしょうか?
ペットの健康を預かる飼い主にとって、必要な情報をわかりやすくというポリシーが感じられます。
4つの変化の2つ目以降については引き続き、次号の記事で解説していきますね。

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