コラム

犬の体とよくある病気(4)早期対応で未然に防げる「乳腺腫瘍」「子宮蓄膿症」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

犬の体の「系統」ごとに起こりやすい病気を学ぶシリーズ。今回は「生殖器系」の病気についてです。

今回お話しする「子宮蓄膿症」「乳腺腫瘍」については、飼い主側の対応次第である程度予防対策ができる病気です。

ぜひしっかりとお読みいただき、健康に関する選択の参考にしてください。

メスに多い「子宮蓄膿症」「乳腺腫瘍」

この2つは避妊手術のタイミングにより、「乳腺腫瘍」は発生率を下げられる病気です。

子宮蓄膿症

子宮への細菌感染により起こる。血液、膿のような分泌物が外陰部にみられる。元気がなくなり、食欲不振、多飲多尿などが起こる。

尚、外陰部に分泌物が見られない「閉塞性子宮蓄膿症」の場合、お腹が膨らむ、嘔吐、ショック状態などが見られ深刻です。一刻も早く動物病院を受診する必要があります。

治療

一般的には子宮と卵巣を取り出す外科手術が選択されます。特に閉塞性の場合はできるだけ早く手術をすることが望ましいです。

将来出産をさせたい場合、他の疾患を持っているため手術が難しい場合は他の選択肢が検討される場合もあります。

乳腺腫瘍

犬に多く見られる腫瘍で10歳を超えると発生率が上がる傾向にあります。50%が良性と言われています。飼い主さんが触って発見することが多い病気です。そのため、特に老犬期に入ったメスの場合、体を触って定期的にチェックするのがおすすめです。

犬の乳腺腫瘍は「性ホルモン依存性の疾患」です。これは乳腺腫瘍の中に「性ホルモン」の影響を受けて増殖しやすいタイプが含まれるからです。そのため、犬がこの「性ホルモン」にさらされる機会を減らすことで乳腺腫瘍の発生率を減らすことが可能です。

若齢で避妊手術を受けることにより、発生率を低く抑えることができます。

最初の発情期が来る前に避妊手術を受けた犬の場合、乳腺腫瘍の発生率は0.05%とされています。これに対し、1回目の発情期を迎えた後で手術をした場合は8%、2回目以降は26%です。

治療

手術による切除が第一選択肢となります。

犬の避妊手術、どうする?と考える際に参考にしてほしいこと

繁殖の予定がない場合、乳腺腫瘍、子宮蓄膿症の予防のためにも、早い段階で避妊手術を受けることを検討しましょう。

発情期には出血もあり、犬の体調も不安定になります。

健康な体にメスを入れることに抵抗がある、全身麻酔が怖いという意見も聞かれます。一方で繁殖の予定がないまま避妊手術をせず、10歳を超え、老犬期に入ってから子宮蓄膿症を発症するような事例もあります。

体に病気がない、健康な状態で全身麻酔をかけた場合、麻酔関連死亡リスクは0.05~0.0591%程度とされています。(2,000匹に1匹の割合で麻酔による死亡があるという確率です)

これが、重度な疾患を抱えた状態だと麻酔関連死亡リスクは1.01%~1.33%に上がります。健康な状態で全身麻酔をかけた時と比べて、死亡リスクが約20倍に跳ね上がります

(参考:麻酔リスク評価 |ASAステータス)

子犬の頃に手術を受けさせるのをかわいそうに思い、避妊手術をしなかった。しかし10歳を過ぎてから子宮蓄膿症になり子宮と卵巣全摘出、というケースを考えてみます。

この場合、病気の深刻さに加えて、麻酔関連死亡リスクまで高い、という状況になります。

まだ起こるかどうかわからない病気のリスクを先周りして考えるのは、実際難しいことです。

しかしながら、腫瘍の発生リスク、障害を通して起こる発情時ごとの体への負荷、万一高齢で発症した場合のリスクや外科手術を受ける際の体への負担など、トータルで考えることが大切です

犬の避妊手術は、こうした事態まで見越して考える必要があるということを、是非覚えておいてください。

まとめ

犬の病気の知識」は「犬が病気になった時に慌てないため」だけに必要なわけではありません。

犬を家族に迎えた際、長いスパンで健康管理プランを立てる際にも病気の知識は必要不可欠なものです。

犬の健康管理を行うのは飼い主の責任ある仕事です。ぜひ、犬の体のこと、病気のことについて学び、知ってくださいね。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
最新号の配信を希望の方はバナーをクリックしてお申し込みください。無料でご購読いただけます。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。