コラム

犬の体とよくある病気(5) | 老犬に多い「甲状腺機能低下症」

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犬の体の「系統」ごとに起こりやすい病気を学ぶシリーズ。今回は「内分泌系(甲状腺、副腎など)」の病気についてです。

今回は「甲状腺機能低下症」について解説します。

ホルモン分泌の不具合によって起こる「内分泌系」の病気

私たちの体は「ホルモン」によってその機能が正常に維持されています。

例えば血糖値。私たちも犬も、血液の中には一定量のブドウ糖(グルコース)が含まれています。体は活動するために常にエネルギーを必要としています。血液中のブドウ糖は、その大事な供給源。

そのためブドウ糖が血液中に少な過ぎては体が正常に機能できません。また、多過ぎても弊害があります。

この血液中のブドウ糖濃度(=血糖値)を正常範囲内に収まるようコントロールしているのがホルモンです。

こんな風に、ホルモンは私たちが意識する、しないにかかわらず、体を正常な状態に維持するために働く大切なものです。

このホルモンの分泌異常が起こることで、様々な病気が起こります。

甲状腺機能低下症

甲状腺は犬の気管に張り付くような形で存在しています。通常は触れることができない器官です。甲状腺の病気について理解するために、甲状腺から分泌されるホルモンについて知りましょう。

甲状腺から分泌されるホルモン

  • サイロキシン:体を活発に活動させるために働く
  • カルシトニン:血液中のカルシウム濃度調整

甲状腺機能低下症は、必要な量のサイロキシンが分泌できなくなることで起こります

犬にはよくある病気でもあり、どのような犬種でも発症します老犬に多く発生するというデータもあります

症状は:

  • 激しい運動を嫌う
  • とぼとぼ歩く、散歩もすぐに帰りたがる
  • 異常なほど寒がりになる
  • 毛が抜けたままになり、生えてこない
  • 腹部の皮膚が黒ずみ、厚みが出る

をはじめとして、様々な症状がみられます。

こうした症状がある一方で、食欲は旺盛なことが多く、病気と思われにくいという特徴があります。そのため、発見がしにくい場合もあります。

老犬は特に、見過ごされがち

特に老犬の場合、これらの症状は「もう歳だから」と見過ごされがちです。

犬が高齢になり、活発さが以前と比べてなくなることはある程度自然なことです。一方でもし、飼い主さんが「どうもおかしい」と気になる場合は、早めに獣医師に相談することが大切です。

老化現象によるものか?それとも病気?

老犬との暮らしが初めての飼い主さんの場合、その見分けが難しいことがあります。そういう時は迷わずかかりつけ医に相談しましょう。こんな些細なことで…と思わず、専門家を上手に頼り、ひとつひとつ経験を積み上げていくことが大事です

治療

合成甲状腺ホルモン製剤を使い、甲状腺機能を補います。通常、自宅で薬を飲むことで対応でき、ほとんどの症状はこれによって改善されます。

老犬との暮らしが初めて=老犬の飼い主0歳

筆者の個人的な経験を言うと、老犬って初めての時は結構ドキドキするんですね。病気なのか!と思えばただの老化現象です、と言われたり。その一方で、全然元気なのに、実は病気が見つかりました!と言う出来事があったり。

はじめて老犬と向き合う飼い主は、いわば老犬の飼い主0歳です。元気でも病気のこともあるし、元気がなくてもただの老化の場合もある。

こう言うことを、少しずつ経験しながら飼い主側も「老犬の飼い主」として鍛えられる、と言う経験をここ数年積んでいます。

その際、予備知識として「一見老化現象に見えるけど、病気の場合もある」を知っていると、こまめにかかりつけ医に相談できます。

専門家に頼るのが上手くなる、と言う感じです。

ここにところの一連の記事で「犬の体と病気について知ってください」と私自身が投げかけているのはこのためです。

病気の知識は、犬がはっきり病気と診断されてから初めて役に立つ、というだけではありません。病気の知識があることで、「なんかはっきりしないけど、これって病気?」という兆候に気付きやすくなります。

そして「気軽に動物病院に相談する」をためらわなくなります。

そうすることで、病気の早期発見につながります。どんな病気でもそうですが、早く見つけるほど治療の選択肢も多く、治りやすいというのが一般的です。

早く気づく、見つけるって、これこそ家族である飼い主にしかできないことだと思うのですが、これについて、あなたご自身はどう考えますか?

今日はぜひ、これについて考えてみてくださいね。

次回は「糖尿病」についてのお話です。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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