犬の手作りごはん栄養学

犬の手作りごはん「栄養バランス」で悩んでいる方へ(1)

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Office Guriの諸橋直子です。今回は定期的に疑問が寄せられる「犬の手作りごはん、栄養バランスってどう考えればいいの?」について、シリーズで解説していこうと思います。

手作りごはんと栄養バランス

私は犬の手作りごはん動画をYoutubeに投稿しています。

楽しく見ています!というお声もいただきますが「犬の食事の栄養バランスについてはどう考えているんですか?」という質問が定期的に寄せられます。

ちなみに、これには多少なりとも批判的な意味合いが込められている場合が多いです。

それは、動画で見ると私が作るごはんは使用材料の種類が割と少なめで、ちゃちゃっと作っているように見えるためでもあり

他の人はもっと手間暇かけて、材料も何種類も使ってるよ?それに比べて、あなたのレシピはちゃんと栄養のこと考えてる?

という指摘でもあります。

栄養に関して言うと、私は犬の管理栄養士有資格者です。また個人的に栄養学が好きで、栄養学についての教育を受けることについてはそこそこお金を使ったりもしています。
(通信制の大学を利用して、栄養や食物の安全性について授業をとったり、獣医師に着いて、犬の栄養学をきっちり学んだり、などいろいろ)

なので「栄養のこと考えてる?」については、「はい、考えてますよ」という回答になります。

ただ、「栄養のこと考えてる?」という質問者のいう「栄養」と、私が捉えている「栄養」は同じ言葉を使っていてもかなり中身が違うと思います。

これについては、今後一連の記事シリーズでお話しするとして、今日お伝えしたいのは1点です。

それはすなわち、

手間暇かけるのが良いごはん、ではない。犬の手作りごはんも家庭料理なんだから、もっと手軽でいい

ということです。

家庭料理に適切なスタンスって何だろう?

これについて、最近話題になっている土井善晴先生の本についてのAmazonレビューを引用します。

『この本を読むたびに、私は泣きます。』

私は料理が苦手なのですが、毎日一生懸命、家族の好みに合った肉、魚を使ったご馳走?を作ります。家族の嫌いな素材や食べられないものは使わないように気をつけます。夕食作りには、最低でも一時間半はかかります。

それなのに家族は、友達や仕事のつきあいで飲食店の焼き肉やお寿司、ご馳走を食べに行き、「久しぶりに旨い物を食った!」と、留守番していた私に話すのです、、、、、。
私の作るものは、所詮お店のものには敵わない、、、、、と、いつも悲しくなっていました。

こちらの本の84ページから。「家庭料理は、素朴で地味なものです。目的は自分と家族の健康です。
ですから、なんでもありではありません。違和感のあることはいけません。そして、中くらいに、普通においしければ、まずはそれでよいのです。」、、、、、、あ、私はお店の味を真似して、毎日作らなくてもいいんだ。

そして85ページから。「人間の暮らしで一番大切なことは、「一生懸命生活すること」です。料理の上手・下手、器用・不器用、要領の良さでも悪さでもないと思います。一生懸命したことは、いちばん純粋なことです。そして純粋であることはもっとも美しく、尊いことです。」、、、、、ここで、私はいつも泣いてしまう。悲しいのではなくて、救いを感じるから。

土井先生、有難うございます。料理することに疲れた時は、この本を読んで自分を元気づけることにします。

出典:Amazon『一汁一菜でよいという提案』
https://amzn.to/3ANLd2x

この文章でのテーマは「おいしさ」ですが犬の手作りごはんの場合、ここを「栄養=栄養バランス」に置き換えて考えるとわかりやすいと思います。

私自身もそうですが、「我が家は犬にごはんを作っていて…」とうっかり口にすると

はあ?素人が犬のごはんなんて作って、栄養バランス崩れたらどうするの?!

という批判的反応が返ってくるケースがよくあります。

私はもう、そういう反応に慣れたので軽く受け流せますが(反論できる材料も十分持ち合わせいるので。それに私は素人ではないので、そもそも当てはまらない)純粋に手作りごはんを楽しみの一つとして始めたビギナーの方だと、こういう反応に傷ついてしまうことも多々あります。

これは先にご紹介したレビューにあるような、一生懸命努力しても「外で食べるごはんは美味しい」と家庭料理が美味しいと認められない状況に、とても良く似ています。

手作りごはんを作っている人たちは、たいてい事前によく勉強しています。栄養バランスについては犬のごはん本を読み込んだり、安全については食べさせてはいけないものを調べたりしています。しかし、そうやって一生懸命作ったごはんを「素人の作ったごはんでしょ?完璧な栄養バランスが取れているペットフードと比べたら、バランスが悪いに決まっている」とペットフードとの比較で批判される事が多い

これだと、レビューの方と同じで、心が折れますよね、という話です。

そこから

本当に素人の私が手作りごはんを作り続けていいのだろうか…

という疑問がぐるぐると始まり、インスタやYoutube動画で、他の人の作った手作りごはんを見て

私の作るごはんは全然だめ…手間もそんなにかけられないし、使ってる野菜の種類も少ない…

と、どんどん落ち込んでしまう。

現代は、嫌でも人のやっていることの情報が飛び込んで来る時代です。

なのでそういう「すごい」人たちと自分のごはんを比較し、

「自分のごはんは何てだめなんだ」

と感じてしまった経験を持つ人は、実は多いのではないでしょうか?

犬の管理栄養士視点から「犬の手作りごはんの栄養バランス」を見てみると?

プロの視点から言わせてもらうと、そもそも家庭料理に毎回「完璧な栄養バランス」を求める方が、無理だと思います。

それは家庭料理に、毎回「プロの飲食店並の手間暇と味、クオリティ」を求めるのが無理なのと同じことです。

手作りごはんに都度、ペットフード並の栄養バランスを求める事自体が歪んでいます。

なぜなら、ペットフードは「それのみを食べ続ける」という前提で作られた完全栄養食品だからです。毎回、または日替わりで、様々な食材を口にし、結果として必要な栄養量が「満たされる」という、手作りごはんとは、食事としてのあり方が根本的に違います。

その違いを無視した比較は、手作りごはんの作り手をいたずらに追い詰めるだけです。手作りごはんには、手作りごはんの栄養バランスのとり方があります。それを前提に考える必要があります。

そもそも人間の食事も、完璧な栄養バランスが取れたものなんて、身近なところでは病院食か学校給食くらいではないでしょうか。そのような「管理栄養士が考える完璧な栄養バランスの献立」は、犬の手作りごはんに必要ありません。

基本スタンスは「家庭料理」です。気軽に作って、無理なく、程よく美味しい(=犬が喜ぶ)。地味で良い。ただし、「栄養の偏り」と「不足」に注意する。大切なのはこの2点です。

まとめ | 犬の手作りごはん「栄養バランス」のポイント

手作りごはんは日替わり、または数日おきのローテーションで「いろいろなものを食べて」必要な栄養が満たされる食事である。それしか食べない前提のペットフードとは、食事としてのあり方が根本的に違う

手作りごはんで「ペットフード並」の完璧な栄養バランスを毎食目指す必要はない。ただし、「食材の偏り」と「栄養の不足」には注意が必要。

では、ここでいう「食材の偏り」と「栄養の不足」に注意するためには、具体的にどうすればよいのでしょうか?

これについて、次号の記事で引き続き解説していこうと思います。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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