犬の管理栄養士、諸橋直子です。
さて今回のテーマは
「今更だけど、豚こまと切り落としってどう違うの?」
です。
豚肉は犬の手作りごはんによく登場する食材です。
我が家では最も登場頻度の高いお肉でもあります。理由はビタミンB1の含有量が他の肉類と比べてトップクラスであること。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際、欠かせないビタミンです。
老犬2匹と暮らす我が家では
「ごはんをしっかりエネルギーに変えて元気に!」
という思いから、豚肉をよく使用しています。
そんな豚肉の中でも、お手頃で使いやすいのが
- 豚こま
- 切り落とし
の2種類。
でも似ているようでこの2つ、どこが違うの?という疑問について今回は解説していきます。
特に老犬の飼い主さんはこの2つの違いをしっかり把握しておくことが、老犬の健康管理につながります。ぜひこのメルマガを参考に、違いについて知ってくださいね。
お手頃で使いやすい、「豚こま」と「切り落とし」の違いとは?
『豚こま=豚こま切れ肉』
豚肉をカットした際に出る切れ端の寄せ集めです。部位の指定がないため、肩、ロース、バラなど様々な箇所のお肉が含まれます。
そのため、色々な部位の味が楽しめるのがメリットです。薄くカットされているので調理がしやすいのも特徴。
Youtubeの料理動画を見ていると豚こまくらいの薄さだと、手で割いて調理している方もいます。
私が好きで良く見ている、料理研究家のリュウジさんはよく手で豚こまを割いて使っています。
個人的には生肉をできるだけ触らず調理したいので、私の場合は豚こまを切らずに加熱、火が通ったたらキッチンバサミでザクザクカットする方式を採用しています。
生肉を触ることで手に病原体がつくのが嫌なので(そこから洗い方が不十分で、他の料理に菌が移ってもいやなので)ハンバーグは使い捨て手袋でこねていますし、生肉カットに使用した包丁とまな板は毎回熱湯消毒です。
余談ですが最近は100均の「まな板シート」を利用するようになり、少しだけ生肉調理のハードルが下がりました。
DAISO:まな板シート(24cm×3m、抗菌剤入)
https://jp.daisonet.com/collections/kitchen0213/products/4550480090832
実はまな板シート使っても結局調理器具は引き続き熱湯消毒してるんですが、直接まな板に生肉が触らないというだけで随分気楽です。
さて話を肉に戻しましょう。
『切り落とし=部位が特定された切れ端』
切り落としは大抵「肩ロース切り落とし」「バラ切り落とし」「もも切り落とし」など部位名とセットで売られています。
表示がない場合でも、肉を見るとだいたい「脂肪が少ないから”もも”かな」とか「脂身が多いからバラだよね」など見分けがつくことが多いです。
豚こまと比べると、肉が大きめにカットされていることが多い印象です。
まとめると:
- 豚こま:様々な部位が一緒くたになった切り落とし。色々な味が楽しめる。
- 切り落とし:部位が特定できるので、料理に合わせて選べる。
に、なります。
豚肉の栄養学的解説を別記事にあげています。豚肉についてより詳しく知りたい方は参考にしてください。
犬の健康状態、年齢に合わせて肉の「部位」も使い分けよう!
さて豚こまと切り落としの違いを踏まえて、犬の手作りごはんを作る際どう選べば良いのでしょうか?
特に病気などがなく元気な成犬であれば、豚こま肉で様々な部位の味わいを楽しむことができます。
ただし、豚バラのように脂質の多い部位は要注意。犬が一度に大量の脂質を摂取すると、膵炎を起こす場合があります。膵炎は命に関わる重篤な疾患なので、同じ豚こまでも脂肪部位が多いものは避けることをおすすめします。
老犬の場合、加齢とともに脂質の消化が体の負担になる場合があります。成犬期と変わらない脂質量の食事でも、下痢をしたり、吐いてしまうこともあります。こうした症状が現れた場合はまず獣医師の診察を受けましょう。消化機能の衰えだけでなく、病気が原因でそうした症状が起きている場合があるからです。
診察を受けた上で、加齢に伴い脂質の消化が負担になっているようだ、ということになった場合、肉は低脂肪・高タンパクな部位がおすすめです。
肉は部位によって脂肪の付き方が変わるのは、読者の皆さんもご存知のことと思います。
そのため「部位」が特定できる「切り落とし」がこの場合は便利です。老犬の場合、脂質は控えめといいつつ皮膚や毛の健康のためにやはり適度な脂質は不可欠。ほどよい脂身もありつつ、高タンパクでヘルシーな「もも切り落とし」が老犬にはおすすめです。
こんな風に「肉についての知識」をうまく活用して犬の身体に合わせた食事を考えていきたいですね。
近日募集開始予定の
「老犬のための手作りごはんオンライン学習講座」
は「老犬の身体に合わせた食事」がテーマです。
必要を感じる方はぜひ楽しみにお待ちください。
それでは、また。