Office Guriの諸橋直子です。我が家にはじき4ヶ月になる盲導犬パピー:ケイン君がいます。
ケイン君、盲導犬パピーとして委託された当初から下痢気味で整腸剤と一緒に我が家にやってきた次第です。当時食べていたパピー用フードも一緒に3kgほどいただいたので、それと整腸剤を一緒に食べて過ごしていました。その後同じフードを業務用で19kg購入し、成長に合わせて量を増やしていきました。
ところがです。
安定していたお腹の調子が、フードの量を増やすと再び下痢気味になります。
成長に伴い必要とするカロリーも増えていくのでフードの量もそれに合わせて増やす必要あります。それなのに、増やすと下痢になる。
ただ下痢になるだけでなく、夜中にケージの中で下痢になる。そうすると朝起きて、結構悲惨なことになっており、毎朝ケイン君はシャワーで全身を丸洗い。そしてこれはこれで人間も大変なわけです。
ではどうするがいいのでしょうか?
困った時の手作りごはん
結論は「まあ困った時の手作りごはんですよね」ということで現在、ケイン君はほぼ100%手作りごはんを食べています。
ちなみに北海道盲導犬協会の職員さんに、手作りごはんは全然禁止ではないです!と了解をとって行っています。
3食フードにすると夜中にケージで下痢、3食手作りごはんにすると便は正常になることは実際に何度か検証して確認済みです。
汚い話ですが手作りごはんには必ずトマトを入れるので、便の色が赤くトマト色に染まることで、これはどの時の食事か分かるようにしてあります。赤い便がしっかりと固めで正常。フードだと下痢、と実にはっきりわかるので、それならば、まあしばらくは手作りでいこうかな、とそんな感じです。
そしてここで大事な認識として「別にフードが悪いわけではない」を明記しておきます。
別にフードが悪いわけではない
誤解のないよう明記しておきたいのは「フードが悪いもので、手作りがいい、ということでは決して【ない】」ということです。フードはあの粒に中にエネルギーと栄養素をギュッと詰め込んだコンパクトな食べ物で、とても良いものです。とても便利。
なので私も正直なところ暑さでぐったり疲れた日には、もうフードで済ませたい。
でも翌朝ケイン君がケージで下痢まみれになっていて、それを掃除してシャワーで全身を洗って…と考えると「いや、ここはちょっと無理してでもなんか作ろう」と考え直します。
そして「まあこれも一時的なものだろうし、成犬になって胃腸が完成したらフードでも何でも食べられるようになるだろう」と楽観視もしています。
フード自体は良いものなのです。ただ、ちょっと今のケイン君には量と内容が合っていない。それだけのことです。そういう犬もいます。
思えば我が家の初代犬:黒ラブぐりもパピー期の食事で散々苦労しました。フードを食べるとどうしても下痢になる。フードを変えても下痢になる。当時、手作りごはんの存在を知らなかったため、振り返ると必要以上に苦労をした気がします。
そんなぐりも大きくなったら、手作りだろうがフードだろうが何を食べても平気になりました。
要は「成長を待つ」という一見消極的な姿勢がこの時期には必要で、フード以外の選択肢を持っていれば、それで楽になれるのです。フードは別に悪くない、でも合わないこともある。そんな認識が広まると同じようなことで困っている方たちの参考になるのではと思い、今回ご紹介した次第です。
フードで下痢をする→フードの成分表を見てみよう
ではフードの何が合わないのでしょうか?これは丁寧に検証する必要がありそうです。そこで手始めにフードの成分表を見ることにしました。成分表を見ることで、どのような栄養素がどの程度の割合で含まれているかがわかります。また実際に、我が家のケイン君がそれら栄養素を実際に摂取している量も計算できます。
その計算をどうやったか?を簡単にご紹介します。
現在我が家で利用しているのは、某メーカーのパピー用フードです。体重と月齢からいうと、このフードを1日に350gほど食べるのが適切な計算になります。
ちなみにこの給餌量はフードにより異なるので、読者の皆さんは各自でご利用中のフードのパッケージなどを参照してください。
さてこの給餌量から子犬の1日のエネルギー要求量をざっくり計算できます。我が家で利用中のフードは代謝エネルギー380kcal/100gです。そのため、我が家のケイン君の1日のエネルギー要求量は以下の計算式で算出可能です。
・380kcal×3.5=1330kcal
比較のために体重とライフステージから計算する方法でも算出してみます。詳細は省きますが、だいたい
・1224kcal
になります。
体重からの算出方法はこちらを参考にしてください:
犬が1日に必要なカロリーは?計算方法とフードやおやつの目安量を解説【獣医師監修】 | となりのカインズさん
https://magazine.cainz.com/wanqol/articles/health_care_18
我が家の場合は上記の計算から、1300kcal前後を摂取できていればOKです。
我が家のケイン君の場合は、糖質をご飯でしっかり摂り、それに納豆や卵、鶏肉でタンパク質をその他のミネラル類は野菜から摂っています。
ただしカロリーは十分摂れるよう計算しながら食べさせてはいますが、かなりヘルシーなメニューでもあります。なので体型的にはちょっとスリムです。獣医さんには「もうちょっと太ってもいいかも」と言われています。
この点フードは給餌量を守って食べさせていればカロリーはしっかり摂れるので、少しむっちりした体型になります。
フードのみで問題なかった頃のケイン君は、お腹周りがむっちりしていました。フードの量が徐々に増え、下痢が目立つようになって手作りごはんに変えると、お腹周りがシュッと引き締まります。
気になる項目「粗繊維」について考えてみる
さて成分表をざっとみて気になったのは「粗繊維」の項目です。なのでこの「粗繊維」について考えてみます。「粗繊維」は簡単にいうと「食物繊維」だとここでは理解してください。「食物繊維」の中でも水に溶けない「不溶性食物繊維」です。
この「粗繊維」を、我が家のケイン君は成長に合わせた量のフードからどのくらい摂取することになるのでしょうか?
現在1日に摂取すべきフードの量が350g。フードの成分表を見ると「粗繊維」は4.0%以下という表示です。「以下」というのは最大4.0%を意味します。これに従って計算してみると、14g。つまりケイン君は1日最大4gの食物繊維を摂取していることになります。
これは果たして多いのか、少ないのか、それともちょうど良いのか?
この「粗繊維」の量は、我が家の犬に合っている?を考える
参考までに、15歳以上の女性が摂取すべき食物繊維の量は18g以上です。(厚生労働省 | 日本人の食事摂取基準 2025年版 による数字)
15歳以上の人間の成人女性が1日に摂りたい食物繊維基準量が18g以上。それに対し、体重10.5kgの子犬がフードから摂取している量が14g。個人的には「ちょっと多くないか???」というのが感想です。
もちろんフードは動物栄養のプロが設計して成分を決めているので、悪いものでは決してありません。ただ量によっては合う、合わないは当然ありそうです。人間でも食物繊維が多すぎると下痢になる人がいます。逆に便秘になるケースもあります。これは犬も同じであることは、先日かかりつけの動物病院で獣医師へ確認済です。
フード100%で下痢をするときは我が家の場合、便の量自体もかなり増えます。これは「粗繊維」の量が多いので当然です。食物繊維が便通を促すのは便の量が増えてそれが腸への刺激となり、排便を促すからです。これと比較すると手作りごはんの場合、便がかなりコンパクトになります。
ちなみに食物繊維14gを一般的な食材で摂ろうとすると、生のごぼうで400gほどになります(不溶性食物繊維のみを考えた場合)。これって実は結構な量なんですよね(ものにもよりますが小さいごぼうだと2本は超える)。ごぼう400gを調理したとしても、1日で食べたら私でもお腹が痛くなりそうです。
この繊維量で大丈夫な犬は大丈夫だろうし、合わない犬は合わない。ケイン君は後者かなと考えて、我が家では繊維量は程々を意識して、食事を考えている次第です。
野菜も与えていますがごぼうのように不溶性食物繊維が多そうな食材ではなく、トマトやきゅうり、レタスなどが中心です。繊維量を意識して手作りごはんを調整すると下痢がぴたりと止まります。
我が家の場合はこのように折り合いをつけて、下痢をせず、成長期に見合った体重を増やせそうな量と内容を
考えている毎日です。
犬のお腹も色々。犬に合わせて考えよう。
というわけで我が家の盲導犬パピー:ケイン君のケースについて、我が家ではこう考えて、こう対応しているというお話しをご紹介しました。
手作りごはんを作っていると食材の栄養についてだけ考えていればいいと誤解されがちですが、フードについても成分表示の読み方や成分について知ることも大切です。
手作りごはん中心の方も、フード中心の方も、フードの成分について一度じっくり向き合って学んでみると役に立ちます。お腹のトラブルがあった場合にも対応しやすいですよ!というお話しでした。
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