マダニ

犬のマダニによる感染症 | 犬と健康

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犬のマダニ対策感染症予防の視点から見て重要です。マダニが媒介する病気について正しく知ることが、マダニ対策の第一歩になります。

マダニとは?

マダニは家庭内に生息する、いわゆるチリダニ類とは異なります。チリダニ類は0.3〜0.4mmと大変小さく、アレルギーの原因になることはありますが人を刺すことはありません。

マダニは肉眼でも確認できる大きなダニです。小さなもので3mm程度ですが、吸血すると大きく体が膨らみ10mmにもなります。

マダニの写真はこちらでも確認できます。
マダニ対策、今できること(NIID国立感染症研究所)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/2287-ent/3964-madanitaisaku.html

マダニのいる場所

マダニは日本全国に生息しています。

山などの野生動物の多く住む場所にマダニも生息していますが、最近では野生動物の少ない住宅街の草むらでも活動している場合があります。

畑、庭、あぜ道などにもいるので注意が必要です。

マダニは犬の耳、目などの顔周りを狙って食いついてきます。マダニは犬の体温、匂いに反応し、犬を餌と認識し取り付き吸血します。

犬は好奇心から草むらに顔を突っ込み、匂いを嗅ぐ行動をよくとりますが、これがマダニにとっては都合の良い行動になります。犬が草むらに顔を突っ込まないよう注意が必要です。

マダニの活動時期

春から秋にかけて活発に活動します(4月中旬~11月下旬)。暖かいエリアでは冬でも活動している場合があります。

大量のマダニに吸血されると犬が貧血になる場合もある

犬の耳裏にマダニが大量に寄生し吸血することで、犬が貧血に陥る場合があります。

マダニは感染症を媒介する

マダニは感染症を媒介する虫でもあるので注意が必要です。

ライム病

野ネズミ小鳥などを保菌動物とし、野生のダニによって媒介される人獣共通の感染症です。

欧米で多い感染症で年間数万人の感染者を出し、大きな社会問題となっています。日本では1999年〜2018年に231例の報告があります。また感染症が報告されるエリアにも偏りがあり、現時点では北海道での感染例が最も多くなっています。

日本国内でも地域に偏りがある感染症ですが、日本国内の野ネズミ、マダニにもライム病の原因となる病原体ボレリアが保有されています。その保有率は欧米並みであることから、日本でも感染のリスクは十分にあることを、犬の飼い主さんは知っておくべきでしょう。

犬が感染した場合、発熱や食欲不振、全身性痙攣、関節炎などを起こしますが、人もマダニを介して同じ病気にかかります。

人の場合は、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感など、インフルエンザに似た症状が出ます。

ちなみにライム病はヒトの場合の「4類感染症」に分類されており、医療機関でライム病と診断された場合、国への届け出を義務づけられています。

獣医師も、ライム病と診断された動物を診察した場合、同様に届け出の義務があります。

バベシア症

バベシア症バベシア属原虫がマダニを介して犬に感染することで起こります。原虫とはアメーバやゾウリムシのような単細胞生物のこと。

原虫の一部は動物に感染して重篤な症状を引き起こす場合がありますが、バベシア属原虫もそうした、動物に寄生して病気を起こすタイプの原虫です。

バベシア原虫は犬の赤血球に寄生し、それを破壊します。それにより溶血性貧血が起こります。

溶血が起こると、ビリルビン尿という独特な色の尿が見られます。尿の色が茶色くなります。

貧血が原因となり、発熱、黄疸、元気消失などの症状があわられます。治療が遅れると犬が死亡する場合があるので注意が必要です。

バベシア症は現在、関西以西の西日本・四国・九州・沖縄地方で多く報告されています。しかしながら近年では東日本以北でも感染例が報告されています。

最悪の場合犬が急死するケースもあります。有効な治療法は現在、確立されていません。

日本猩紅熱

犬は感染しても無症状ですが、人は頭痛、発熱、倦怠感などがあります。

Q熱

ダニが媒介するリケッチアによる感染症です。リケッチアとは、細菌より小さくウイルスより大きい微生物群を指します。

犬は不顕性感染です。そのため症状は出ませんが発熱や流産、不妊が見られる場合があります。

人の場合、高熱、呼吸器症状、肺炎などインフルエンザに似た症状が現れます。そのまま放置すると疲労感、慢性肝炎、心筋炎などが起こります。

人もマダニからの感染がありますが、Q熱の原因菌は感染動物の尿、糞、乳汁などに排泄されます犬が感染した場合、その分や尿から排泄された病原体が飼い主さんと一緒の住空間を汚染し、そこから人へ感染する可能性が高まります。

犬の感染を防ぐことが、飼い主さんの健康を守ることにもつながります。

エールリヒア症

エールリヒア症はいくつかのエールリヒア属リケッチア(細菌より小さくウイルスより大きい微生物群)による感染症です。

犬は発熱、鼻汁、食欲不振、元気消失、貧血などが起こります。

犬に感染するエールリヒア属リケッチア(E. canis)と人に感染するリケッチア(E. chaffeensis)は種類が違います。そのため犬のリケッチアが人に感染することはありません。

人の場合では発熱、頭痛、関節痛、倦怠感、呼吸困難などの症状が現れます。治療しないと死亡するケースもあるため、注意が必要です。

マダニによる感染症を予防するには?

マダニに噛まれないよう、対策を行うことが重要です。

  • 山、草むら、野生動物の多い森などの散歩時は、虫よけを利用する
  • 犬を草むらに入れない
  • 散歩の後に、犬の体を確認し、マダニがついている場合は取り除く
  • マダニ駆虫薬の利用、但し駆虫薬はマダニの駆除を目的としておりマダニに噛まれることそのものを予防するわけではない。

マダニについて正しく知って、感染症を予防しましょう。

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