コラム

犬のシビアなお金の話 | 病気予防と医療費を抑えるには?

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こんにちは。Office Guriの諸橋直子です。

犬の医療費は自由診療、全額自己負担が基本です。犬の病気について知り、長期の視点で予防対策に取り組むことが、犬の健康を守り、医療費の負担も減らすと言うお話です。

病気の早期発見・早期治療は医療費の抑制につながる話

先日、放送大学の授業「感染症と生体防御」のテキストを読んでいたのですが、その際、このようなフレーズがあり印象に残っています。

HIVに関する記述です。

しかしながらHIV感染者を早期に発見することは、適切な治療の導入につながり、患者の予後に大きく影響する。

発見時にステージの進んでいるHIV患者は明らかに予後が悪く、抗HIV薬に対する反応も悪い。

早期発見できれば抗HIV薬によりAIDS発症が予防できるため、医療費の抑制に寄与することになる。

感染症と生体防御(放送大学教材)

HIVは犬に関係ないんじゃ???と目がはてなマークになった方も多いと思います。

ここで大事なのは「早期発見が医療費の抑制につながる」と言う部分。

かなり大雑把にいいますが、これはだいたい全ての病気に当てはまると言って良いと思います。そしてこれは犬、人間に共通して言えることです。

犬の医療費=お金の問題って実はかなりシビアなトピックス。私も先ほど「犬の医療費」でGoogle検索しようとしたところ、複合キーワードの候補に「犬の医療費 払えない」が出てきてとても驚きました。

犬の医療費は基本全額自己負担

犬の医療費は基本全額自己負担です。人間のように「高額療養費」もありません。医療費の自己負担額が高額になった場合、後から国民健康保険から払い戻しがある、というシステムでもありません。

さらに調べてみると、世の中には本当に「犬に緊急手術が必要になったが、医療費が思いがけず高額で払えず困っている」とい言う悩みが多くあることがわかりました。

結論を言うと「犬の健康を守るためには、お金のこともしっかり考える必要がある」ということ。

犬の子宮蓄膿症 | 手術費用は10万~25万円かかることも | いざという時に困らないための「予防」の知識

子宮蓄膿症は幼齢期に避妊手術をすることで100%防げる病気です。避妊手術は大型犬で3~5万円程度(病院や犬種によって料金は変わります)。

子宮蓄膿症を発症し、手術が必要になった場合、手術費用は10万~25万円かかることもあります(これも病院や犬種によって料金は変わります)。

病気の状態にもよりますが、緊急手術を要する場合、時間の経過とともに容体が刻々と変わるので(悪くなる)飼い主さんも短時間で決断を迫られる場合が多い

さらに言うと、健康な状態で全身麻酔をかける場合と比較し、重度な疾患を抱えた状態だと麻酔による死亡リスクが約20倍に跳ね上がります

*詳しくは『犬の体とよくある病気(4)早期対応で未然に防げる「乳腺腫瘍」「子宮蓄膿症」』に書きました。ご参考に。

その情報、もっと早く知りたかった…

本来であれば、こうした情報は子犬を迎えた際に提供されるべきです。でも現状、子犬の譲渡や購入の際、飼い主さんに伝えられるのは「食事の与え方」や「しつけの方法」など、基本の生活情報が中心です。

本来であれば「犬に起こりやすい病気のこと」「犬の体のこと」などの「保健の基礎」も初めて犬と暮らす人向けに最低限、ポイントを抑えて学べる機会がある方が良いです。

「避妊手術に病気予防の目的もあるなんて知らなかった…緊急手術をしないと犬が危険だと言われるし、でも費用が高額すぎて、正直全額、今すぐ払うのは無理…」

こう言う状況になってから初めて困る飼い主さんと犬が、決して少なくない、というのは、とても残念な状況です。

ペット保険に予め加入しておく、と言うのも一つの選択です。

その上で、「犬の病気の予防」は長期的な視点で考えることも大切。

そうすることが結果として犬の苦痛を減らし、飼い主さんの経済的負担も減らします。

愛犬の家庭の医学基礎を学ぶオンライン学習講座

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この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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