コラム

飲む水、食べる水。犬の水分摂取量を考える。

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Office Guriの諸橋直子です。今回のテーマは「犬の食事の水分量」。ここ数日でちょっと面白い本を読んだので、そちらを紹介しつつお話ししていこうと思います。

私たちも身体に必要な水分を摂取していますが、実は

「飲み物を飲む」

以外の方法での摂取比率が高いことをご存知でしょうか?

このことから犬の水分摂取量について考えてみたいと思います。これについて考えるきっかけとなった書籍はこちらです。

行動栄養学とはなにか? | 佐々木 敏 | 女子栄養大学出版部

飲む水、そして「食べる水」のはなし

私たち人間の身体の約6割が水といわれています。

この水は絶えず出入りしており、取り込んだ水を使って様々な代謝が行われます。その結果出た不用物は尿や汗として体外に捨てられます。そのため私たちは絶えず水を取り入れては捨て、取り入れては捨てを繰り返しています。

この水の循環は生命維持にとって欠かせない活動です。これは犬も同じですね。

では私たちは何から水をとっているのでしょうか?

「毎日飲むお茶やコーヒ」

がまっさきに頭に浮かぶ方も多いと思います。

冒頭で挙げた書籍「行動栄養学とはなにか? | 佐々木 敏 | 女子栄養大学出版部 」で紹介されている調査によると、日本人は水を固形の食べ物と飲み物から半分ずつ摂取しているそうです。これがイギリスとドイツだと状況が代わり、飲み物からの摂取が7割、残り3割が食べ物からとなります。

この違いが生まれる理由として、日本人は主食の水分含有量が高いこと、野菜中心の副菜を多く食べることが挙げられています。

日本人の成人女性は平均して1日2Lほどの水分を摂取しています(*)。そのうち半分を食事に含まれる水分で摂取しているということですね。

ところでこの話を初めて本で知った時、結構な衝撃を受けました。そもそも自分が1日に2Lもの水を、様々な形で摂取しているとは思ってもいなかったからです。

確かにお茶やコーヒーが好きでよく飲みますが、それでも1日に1Lは飲んでいない気がします。と、そこまで考えてみて改めて愛用のマグカップの容量を測ってみました。

1回に注ぐ量が約150mlでしたので、これで4杯ほど飲むと600ml。それに加えて夜はワインを飲んだりするので200mlとしてこれで800ml。

こうやって数字にすると確かにそこそこ飲んでいます。

加えて、食事には野菜を使ったメニューが多いです。今の時期だとほうれん草や大根が美味しいです。トマトも箱買いしてスープにして食べています。ちなみに大根やトマトは97%が水分なのでほとんど水を食べているようなものですね。

そのため、自分自身を振り返ってみると食事からの水分摂取量が多く、それで水を賄えているのかな、とイメージがつかめました。

では犬たちの場合はどうなのでしょうか?これについて引き続き考えていこうと思います。

(*)参考: 水 1 基本的事項 2 水の必要量を算定するための根拠 | 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586571.pdf

犬の食事の水分量を考える

1日に必要な水分の半分を「食事」から摂っている私たちに対し、犬たちはどうなのでしょうか?

犬の飲水量の目安はいろいろありますが、体重1kgあたり40〜60mlと考えるのがわかりやすいです。これで考えると体重20kgの犬で1日1.2Lとなります。

みなさんの愛犬について考えてみた場合、いかがでしょうか?1日に水分を十分に摂れていそうですか?

参考までに犬の食事の水分を考えてみましょう。

ドライフードは水分含有量10%以下です。セミモイストで25〜35%、ウエットで75%程度です(*2)。

(*2)参考:ペットフード公正取引協議会
https://pffta.org/seizo/seizo1-3.html

もっとも多く使われているのはドライフードです。体重20kgの犬に対し、1日の給与量が300gの場合(メーカーや種類によって給与量は異なります)食事から摂れる水分量は30g程度と考えられます。

ドライフードは長期保存を目的としているため、水分含有量を極力抑えた食べ物です。保存食として優れる一方で犬の水分補給源としては難しいため、水分については十分摂取できるよう飼い主が気を配る必要があります。

犬は人間と違って「気分転換にちょっとお茶でも」といった理由で水分を摂りません。

特別喉が渇いていなくても水分を摂るというのは、ヒトが他の動物と違う点です。そのため犬との暮らしではこの点を考える必要があるでしょう。

ドライフードを利用されている飼い主さんは、ぜひ愛犬の水分摂取量について今日は考えてみてください。

次号のメールでは「水分摂取」という視点から、手作りごはんのメリットについてご紹介していこうと思います。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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