犬の手作りごはん栄養学

犬の手作りごはんと魚の栄養学(3) | 魚はビタミンDの供給源

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犬の管理栄養士アドバンスの諸橋直子です。前回に引き続き、「魚を犬に与える栄養学的メリット」を解説する記事です。魚とビタミンDの関係についてお話ししていきます。

赤身魚の肉、魚の肝に多い「ビタミンD」

脂の乗った赤身魚やその肝には「ビタミンD」が多く含まれています。

例えば:

  • まいわし(生):32μg(マイクログラム)
  • さんま(皮付き、生):16.0μg
  • タイセイヨウサバ(ノルウェーサバ):10μg

*すべて可食部100gあたり(数値は八訂 食品成分表 2021を参照)

ちなみに「肝臓」はビタミンDを多く蓄えている臓器です。そのため、赤身魚で肝まで美味しく食べられる、という場合は、ビタミンDの補給源として最適です。

また、赤身魚ではありませんが「あんこう」の肝臓、いわゆる「あん肝」は、ずば抜けてビタミンDが多いのが特徴です。

  • あんこう(きも、生):110μg

「ビタミンD」の供給源は、実は限られている

実はビタミンDは野菜には含まれない栄養素です。また、肉類にもビタミンDは含まれますが、魚と比べるとその量はわずかです。かなり供給源が限られるのも、ビタミンDの特徴です。例えば、犬の手作りごはんによく使われる「鶏肉」の場合でみてみると:

  • わかどり(もも、皮付き、生):0.4μg

と、なります。

このことからビタミンDは、意識して摂らないと不足に陥りがちな栄養素といえるでしょう。その点、魚は好む犬も多いです。そのため、魚は犬が喜んで食べ、かつビタミンDの補給ができる貴重な食材と言えます。

「ビタミンD」のはたらきは?

ビタミンDは「カルシウム」と関わりが深い栄養素です。体内でカルシウムの吸収を助け、血中カルシウム濃度調節にも関わります。カルシウムは、ビタミンDと同時摂取することで吸収率が上がることが知られています。小魚を骨ごと食べる料理は、カルシウムとビタミンDを同時に摂ることができます。魚を犬に食べさせることにはこのようなメリットがあることも、知っておいていただければ幸いです。

偏りなく、いろいろ食べるのが健康につながる理由

今回の記事では、魚とビタミンDの関係についてお話ししました。栄養学というのは実に深いジャンルで、こうした食物にどんな栄養素が含まれるのか、また栄養素同士の関係は?については、ほぼ無限大の組み合わせと相乗効果などがあると予測されています。

そんな食物の恩恵を、雑食動物である犬とヒトは「偏りなくいろいろ食べる」ことで、受けています。いろいろなものを食べることで、特定の栄養素が不足するのを防ぐまたは、過剰に摂取するのを防いでいるんですね。

世の中では一時、特定の食品をまつりあげて「これを食べれば健康度が飛躍的に高まる」という風潮が、強くありました(現在でもあります)。しかし、実際に栄養学の視点でみれば、食が支える健康とは、ある特定の、単品の食物に依存しているわけではない、とわかります

コアラのように、ユーカリの葉を食べていれば大丈夫、という生き物は特殊です。あれは他の動物との競合で、毒性を有する食物をあえて選択し自分はそれを分解できる能力を身に着けたという、稀なケースです。

そのため「偏りなく、いろいろ食べる」は、ヒトと手作りごはんを食べている犬たちにとっては、現時点で最善の食事法といえるでしょう。大切なのは、犬の食を預かる飼い主さんが、栄養についての基礎知識を持ち、犬のごはんを作ることです。

今回の記事をきっかけに、少しでも栄養に興味を持ち、学んでみようかな、と思ってくださる飼い主さんが増えると、私もとても嬉しいです。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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