犬の手作りごはん栄養学

犬の手作りごはん「栄養バランス」で悩んでいる方へ(4)完璧な栄養バランスでないとだめ?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SAE認定犬の管理栄養士アドバンス | Office Guriの諸橋直子です。

今回も定期的に疑問が寄せられる「犬の手作りごはん、栄養バランスってどう考えればいいの?」について、解説シリーズをお届けしていきます。

【シリーズ過去記事はこちら】
犬の手作りごはん「栄養バランス」で悩んでいる方へ(1)
犬の手作りごはん「栄養バランス」で悩んでいる方へ(2)ペットフードとの違い
犬の手作りごはん「栄養バランス」で悩んでいる方へ(3)栄養を知ろう

前回の記事では「栄養バランスを語る前に、最低限必要な知識を学びましょう」というお話をしました。

初心者の方が抑えるべきポイントは、まず五大栄養素の理解です。

栄養学については、犬の手作りごはん本を見ると、1~2ページを割いて簡単に解説されていることが多いです。しかし、もし「初心者だからこそ、栄養については基本をちゃんと抑えておきたい」という場合
一般向けの「栄養学」の本を1冊読むことをおすすめします。

おすすめは以下の2冊です。

一生役立つ きちんとわかる栄養学

正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学

「一生役立つ」「正しい知識で健康をつくる」といったキャッチコピーがタイトルにつけられていることからも分かる通り、食事が健康に与える影響は、控えめに言ってとても大きいものです

その「食事」から健康を作るために「栄養学」を学ぶことはおおげさでなく「一生役立つ」ものです。

なので、手作りごはんを通して犬の健康を作りたい、という方はぜひ栄養学についての本を1冊読んでみてください。

さて、少し長くなりましたがここまでが前置きです。今日の本題はその、大事な栄養を「どうバランス良く摂るか?」です。

「完璧な栄養バランス」という幻想を一度捨てる | 必要量を「満たして」いれば十分へのシフト

手作りごはんは「犬の食事」という性質上、一般的に広く「犬の食事」として使われるペットフードとどうしても比べられがちです。

ペットフードと手作りごはんは、食事としての性質も前提も大きく異なるため、比較すること自体、あまり意味がないことは過去記事でも述べました。

それでも、どうしても「犬の食事の栄養バランス」というと「ペットフードで考える栄養バランス」が自動的に頭に浮かぶという人が多いです。

これは言いかえると、

手作りごはんは毎食、完璧な栄養バランスできっちり作らなければならない

という思い込みに直結します。

手作りごはん初心者の方がよく口にする

自分の手作りごはんで、犬がちゃんと栄養が摂れているか心配

という言葉は、裏を返すと

「自分は素人なので、ペットフード並の栄養バランスを、毎回の食事できちんと実現できているか自信がない」

ではないでしょうか?

「毎食」が「完璧な栄養バランス」である必要はない

手作りごはんは「いろいろなものを偏りなく食べた結果、必要な栄養量が満たされる」食事です。

そのため、例えば今日のごはんでカルシウムが少し不足していた、という場合でも翌日のメニューで小魚を使ってまるごと食べさせた、カルシウム豊富なチーズを使ったメニューなどで補うことができれば、健康上の問題は起こりません。

1食1食の栄養バランスが多少凸凹でも、いろいろなものを食べているうちに3日や1週間の単位でみれば結果として必要な栄養はちゃんと取れるのだから、問題ないですよ、というのが「手作りごはん」です。

「そうか、毎回完璧な栄養バランスでなくていいんだ。いろいろなものを食べることで、必要な栄養はちゃんと摂れる、という考え方なんですね」

そんな風に、今日はご理解いただけると嬉しいです。

「手作りごはん」で留意すべきは、完璧な栄養バランスではなく、むしろ「偏り」を防ぐこと。

では、偏りなく色々食べるために、メニューづくりで押さえておくべきポイントは?

これについて、次号の記事で引き続き解説していこうと思います。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
最新号の配信を希望の方はバナーをクリックしてお申し込みください。無料でご購読いただけます。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加