犬の中医学(東洋医学)

犬のツボマッサージを基礎から解説(3)皮膚トラブルに肺のツボ、なぜ効くの?を解説

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Office Guriの諸橋直子です。さて前回に引き続き「犬のツボマッサージ」について基礎知識を解説していきます。

今回は少し「ツボ」そのものから離れて「なぜ”肺”につながるツボへの刺激が乾燥による皮膚トラブルに良いの?」という疑問について、中医学の視点で解説します。

ツボ自体が中医学をベースにした考え方ですし「こういう症状にはこういうツボ!」と機械的に捉えるのではなく「これこれこういう理由でこのツボを押すと体にこういう風に作用して、こうのように健康を回復するんだな」と理論の部分もしっかり理解できた方が、犬と飼い主さんのお役に立つと私自身は考えています。

なので今回は、この点について少し詳しく解説します。通常であれば有料の中医学講座でお話ししているような内容ですが、せっかくツボマッサージに興味を持ってくださる方が多いので特別にメルマガで配信しようと思う次第です(*この記事はメールマガジン「ぐり通信」のバックナンバーです。無料購読いただけますので、配信希望の方はこちらよりご登録ください)。

また解説記事は今回が4回目となります。過去記事は当サイトで公開中ですので、復習したい方は下記を参照してください。

書籍紹介:犬のツボマッサージに興味がある方へ

犬のツボマッサージを基礎から解説(1)ツボってそもそも何ですか?

犬のツボマッサージを基礎から解説(2)呼吸器系の不調時に、「肺兪」の話

呼吸器系の不調に使う「肺兪(はいゆ)」への刺激は、乾燥による皮膚トラブルにも良いのはなぜ?を解説

さて試しに「肺兪」とGoogle検索してみてください。検索結果に表示される多くのサイトが「呼吸器系のトラブルに良い、咳、喘息、風邪などに」と記載をしています。

それと同時に「皮膚の乾燥からくるトラブルにも」と併記しているサイトもちらほらあることに、お気づきになるのではないでしょうか。

そしてこれを見て「なぜ肺を元気にする肺兪への指圧やお灸が、皮膚トラブル解消に役立つの?」と疑問を感じた方も多いのではないでしょうか?

なので

・肺ー皮膚

この関係について、解説していこうと思います。

「皮膚」は「肺」の県境状態を写す鏡。「肺の華は被毛に現れる」

肺というと、まず呼吸を思い浮かべると思います。酸素を取り入れ、二酸化炭素を吐き出す「ガス交換」をまずイメージする人が多いでしょう。

ところが中医学では、肺の働きをもう少し範囲を広げて考えます。

肺は体表に向けて、栄養や水分を送る」中医学では、消化器で取り込んだ栄養素や水分を全身に送り出すのは肺の働きと捉えています。これによって皮膚や被毛(人間の場合は髪の毛など)に栄養を与え、元気にすると考えるんですね。

これを中医学では、肺の「宣発(せんぱつ)作用」と呼んでいます。皮膚や毛は栄養と水分によって潤されることで健康を保つので、肺の健康が皮膚の状態に影響すると考えるんですね。

これを中医学では「肺の華は被毛に現れる」と表現します。「」は五臓の健康状態が現れる場所を指します。皮膚を見れば肺の健康状態がわかるという意味です。そのくらい皮膚と肺は密接に関連していると中医学では考えているんですね。

そのため肺を健康に導く「肺兪」への指圧やお灸は、犬の皮膚トラブルのケアとしても役立つと中医学では考えるのです。

これが中医学のユニークなところであり、身体に起きたトラブルをその部位だけの問題とは考えず、身体全体のバランスの問題と捉える「整体観念」の特徴がよく現れている箇所でもあります。

いかがでしょうか?「中医学では犬の健康を、身体全体の状態を見ながら考える」という風に、ご理解いただければとても嬉しいです。

こんな時にこんなツボ!次回さらに悩み別に役立つツボをご紹介。

というわけで、今回は中医学で捉える「健康についての考え方」も含めた内容でお届けしました。

体の各部位はそれぞれつながっており、互いに影響しながらバランスを取っているというのが中医学の基本の考え方です。その考えが元にあるので、ツボと内臓が経絡で繋がっていることを利用して、ツボへの刺激が内臓を整え健康を回復するのに役立つと考えるんですね。

自業のメールではさらに、こんな時にはこんな犬のツボが使えます!という具体例をご紹介しつつ

お犬にお灸

を行うメリットについて、ご紹介していきたいと思います。

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