犬のツボマッサージ

動画解説:犬のツボを探そう!体力回復に「腎兪」

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Office Guriの諸橋直子です。さて「犬のツボ」をテーマにしたシリーズでお届けしていますが、そろそろ終盤になってきました。今回はこれからの季節、犬の健康管理に多いに役立つツボ「腎兪(じんゆ)」をご紹介していきます。

背中の背骨に沿ったラインにあるツボで初心者の方でも扱いやすいツボであること、加えて犬の健康管理に大変有益なツボです。探し方は動画を交えてご紹介します。また動画内では寒い季節にぴったりな「お灸」についてもご紹介しているので、ぜひ楽しみながらお読みいただければと思います。

犬に疲労回復、冷え性や腰痛の改善、全身の不調改善に。「腎兪(じんゆ)」。

犬のツボ解説の記事シリーズの中で「背中には内臓に直接つながるツボが集まっている」という話をしたのを、覚えていらっしゃる方はいるでしょうか?

参考:犬のツボマッサージを基礎から解説(2)呼吸器系の不調時に、「肺兪」の話

簡単に復習すると、ツボの名前の中に「兪(ゆ)」の文字が入っているツボを「兪穴(ゆけつ)」と呼びます。「兪穴」は内臓に直接刺激を伝えるツボと考えられており、

・肝兪
・心兪
・脾兪
・肺兪
・腎兪

などがあります。

これらの兪穴はすべて肺兪と同じ背骨と並行に走る線上、背中にあるツボです。背骨を挟んで対照に、左右に1つずつとイメージするとわかりやすいでしょう。ここでは「背骨に沿って、内臓にとって大事なツボが並んでいる」という、ざっくりとしたイメージで捉えておくと理解しやすいです。このため背骨に沿って、背骨を挟むようにやさしく骨の脇をマッサージするだけでも、体の調子を整える効果が期待できます。

さてそんな「兪穴」の中で「腎」に直接刺激を与えることができるのが、「腎兪」です。では「腎兪」とはどのようなツボなのでしょうか?中医学で考える「腎」の働きにスポットを当てながら、解説していきます。

中医学で「腎」は生命の根本。「腎兪(じんゆ)」への刺激は腎機能改善と体力回復に。

良い機会なので、ここで中医学で考える「腎」について解説していきます。「腎」は中医学ではユニークな捉え方がされており、これを理解することで犬の健康管理に大いに活かせます。特に老犬にはメリットが大きいので興味のある方はぜひ、しっかりとお読みいただければ幸いです。

さて「腎」というと「腎臓のこと?」と感じる方も多いと思います。確かに中医学でも「腎」は水を司ると考えられています。水分の再吸収や尿を作り膀胱から排泄するはたらき、全身の水分調整などは現代の私たちから見ても一般的な腎臓の機能であり、中医学でも同じことがいわれます。

しかしながら、中医学では「腎」の働きをいわゆる「腎機能」だけに限定していません。もう少し広い範囲の機能を担っていると捉えます。その中でも特に特徴的なのが

・蔵精(ぞうせい)を司る
・成長、発育、生殖の促進

の2つです。

」はエネルギーや生命力と理解するとわかりやすいでしょう。中医学では生物には両親から譲り受けた「先天の精」と、食事などから得られた栄養素やエネルギーを転換して作られる「後天の精」があると考えます。これらの「精」を貯めておくのが腎の働きという風に理解します。

生まれつきものすごく体力があり元気!という犬もいれば、体力はほどほどでちょっと食も細く病気がちな犬もいます。これが「先天の精」=親からもたらされた遺伝的な体質や体と捉えると理解しやすいです。

さて食が細くて病気がちだった犬も少しずつ消化の良い体力のつく食事を続けて行った結果、元気になって病気もあまりしなくなることがあります。このように生まれてから摂取した食事などから補給される栄養素やエネルギーから作られるのが「後天の精」です。

「先天の精」は「後天の精」に絶えず補充を受けて、生命を維持するための「精」を作り続けており、それが貯蔵されるのが腎というわけです。

「精」という概念も、中医学独特のもので少しわかりにくいかもしれません。ですが私たちは「精力的な活動」や「精が出る」という表現を普段よく使っています。この場合、「精」=エネルギッシュ、活動的であるという意味合いですね。つまり「精」とはスタミナであり、活動の源になる力を指すと理解できます。

このような生物の活動をさせるエネルギーやスタミナを司る臓器として、腎は捉えられています。

また腎にたくわえられたこれらのエネルギーは生命の誕生、成長、発育、成熟などにも大きな関わりを持ちます。このため中医学では老化を腎の衰えによる自然現象と考えます。

このため腎をケアすることは老化に伴う様々な不快な症状、腰痛、耳鳴り、白髪、頻尿などを和らげ、穏やかにするとされているのです。これらの理由から、腎に直接刺激を伝える「腎兪」を指圧したり、お灸で優しく温めることは老犬のケアに有効と考えられています。

そして成犬期の元気な犬たちにとっても体力回復や健康維持に「腎兪」は役立ちます。そういう意味では全年齢の犬たちに使えるツボと言えるでしょう。

「腎兪」はどこにある?探し方とお灸の使い方について動画で解説しました。

というわけで全世代の犬たちに有益なツボ「腎兪」の使い方を解説した動画をご用意しました。以前は限定公開で限られた皆様へのみご案内していた動画ですが、「犬のツボについて知りたい!」という熱心な方が多くいらっしゃるため、今回思い切って一般公開した次第です。

ぜひお役立てくださいね。

【犬のツボ002】腎兪+お灸の使い方

今回はここまでです。次回はこのシリーズ最終回「犬のお灸」についてお話しする予定です。

また犬のツボマッサージについて学んで、愛犬の普段の健康管理に活かしたい!というお声が増えてきましたので、犬のツボマッサージを基礎から学べるオンライン学習講座についても近日ご案内予定です。

それでは、また。

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