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犬と楽しむアロマセラピー | 国産精油 | 北海道産「はっか」「トドマツ(もみ)」 | コラム

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Office Guriの諸橋直子です。AEAJ認定アロマセラピーインストラクターをしています。精油の産地は世界各国。私たちが普段手に取る精油の多くが外国産です。一方で、国産精油も数は少ないながらも存在します。今回はその中でも、北海道産精油についてのお話です。

北海道は精油の宝庫

前回のメルマガ記事で「北海道のラベンダーはいいですよ」という話をしました。

北海道は私の地元です。何度か北海道を出て道外や海外にも住んでみましたが、結局好きで帰ってきました。以後、札幌に家を買い、家族と大型犬2匹と暮らしています。

その北海道ですが、精油の生産も結構行われています。ラベンダーはその代表格。その次に有名なのが北見の「ハッカ(薄荷)」です

かつて世界の70%を生産していた「北見のハッカ」

ハッカ=ミントの仲間です。そして北海道のハッカと言えば、「北見ハッカ通商」さん。貴重な国産ハッカ精油の販売も行っています。

実は北海道は、かつてハッカ世界シェアの70%以上を生産していた歴史があります。その栽培地が北見。

アロマ精油としても定番のハッカ(ミント類)ですが、実際には食品・化粧品・医薬品などハッカは様々な製品に利用されています。その代表格は歯磨きペースト。爽やかなスッとする香りはハッカの特徴ですよね。

ハッカはこのように、私たちが日常生活で最も親しみ、馴染んでいる香りのひとつです。

ミント類について少しだけ注意すべきこと

ちなみに犬とアロマセラピーを楽しむ際の注意点ですが、Office Guriではハッカ精油をてんかんを持病に持つ犬に使用することは、おすすめしていません

理由はミントの仲間の精油に一部、神経毒性を持つ成分が含まれるためです(ケトン類のl-メントンなど)。これがてんかん発作を誘発する可能性がある、という風に言われることが多いんですね。

神経毒性と言われると、なんだかとても恐ろしいもののように感じます。一方でケトン類と言っても全てが有害というわけでもありません。精油に少量含まれるもので、メリットをもたらすものも存在します。

例えば「粘液溶解作用」。これは粘液の排泄を助ける作用のこと。少量のケトン類を含む精油を許容範囲内で使用することで、鼻の通りをよくする効果を狙って安全に使用することも可能です。

一方で、ケトン類の含有量が高く、もともと一般向けの使用があまりされない精油もあります。ルー、マグワート、ワームウッド、ペニーロイヤルなどがその代表格。これらの精油は動物への使用を避けるのはもちろん、健康な人間の成人でも使用することは稀です。使用する際も様々な注意書きがつきます。

ケトン類という成分にはこのような背景があります。実際にはケトン類もいろいろなのですが、まとめて「ケトン類=神経毒性」と語られることが多い。

ちなみにこれらの精油が、直接てんかん発作を引き起こすというような信頼に足るエビデンスは、実はありません

(そもそも体に影響を及ぼすほど高い濃度で体に取り込まれるような使い方は、通常しません。物事を考えるときは「量」の概念が大事)

しかしながらネット上で「てんかんの持病がある場合、ミント類の精油は避けて!」という記述が多くあります。

そういうのを見るとやっぱり飼い主さん的にはドキマギするでしょうから、それであれば、最初から使わない方が無難です。

ラベンダーなど、他の使える精油はたくさんありますからそっちを使いましょう、という話です。

人の手で丁寧に作られる、貴重な「トドマツ」精油

北海道で「トドマツ(もみ)」精油といえばまず思い浮かぶのが「下川町」です。下川町では北海道モミエッセンシャルオイルの販売が行われています。

丁寧な国産精油作りから、私たちが考えたいこと

下川町では良質の精油を得るために、時間と手間をかけた森林の管理が行われていることでも有名です。伐採後の枝葉は人の手で森から運び出され、蒸留されます。そのため、大量生産はされていません。その分、採れる精油は貴重なもの。

精油の多くは外国産です。それぞれに特徴や良さがあり、コストを抑える工夫がなされていることはありがたいこと。

一方で、私たちが住む自分たちの国でも、じっくり丁寧に作られた精油があります。そうした製品にも目を向け、上手に活用することもアロマセラピーの醍醐味。

地元の資源活用は製品の輸送コストの負担軽減にもつながります。これからの時代、製品やサービスを選ぶ時、価格や品質だけでなく「環境への負荷はどうか?」を考えることも私たちには求められています。

国内の精油に目を向け、使い、楽しむことが、すこしだけ私たちの住む環境への負荷を減らすことにつながる。そう考えると、より香りのある生活を楽めるのではないでしょうか。

犬とのんびり香りを楽しみたい

なにはさておき、香りは犬と楽しめるので良いですね、という話。

我が家では犬のブラッシングスプレーや肉球クリームに、精油を活用しています。ボディケアに使用する以外にも、単純に犬がいる部屋に好きな精油や香木、線香を香らせるということもあります。

使う精油はいろいろですが、アトラスシダーなど樹木系は、これからの時期、クリスマスリースの香り付けに使うのもおすすめです。

我が家も少し早いですが、リースをそろそろ出そうと思っています。
玄関に飾るので、玄関が樹木系の香りで爽やかになると楽しいですね。

この記事は犬の健康基礎情報を学ぶ「ぐり通信」のバックナンバーです。
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