アロマテラピーを犬の健康管理やストレスケアに活かそう| 安全に楽しむために
アロマテラピーは植物から抽出した精油を用いて健康増進やストレスケアに活かす自然療法です。犬は優れた嗅覚を持つ動物なので少量の適切なアロマオイルの活用は、犬のストレスケアや睡眠の質の向上、不安を和らげる、虫よけなど様々な場面でメリットをもたらします。
他方犬には使用できない精油の把握や、犬への適切な使用量、持病を持つ犬への配慮など、事前に安全な使用のための基礎知識を学んでおくことが必須です。
基本情報は「犬に避けたいアロマ精油23種リスト | アロマテラピーインストラクターが解説」で詳しく解説しているほか、要点をまとめた電子書籍での無料配布も行っています。必要な方は合わせて参考にしてください。
アロマテラピーを安全に楽しむルール
アロマテラピーを犬そして人が安全に楽しむためをルールをご紹介します。以下は、安全にアロマテラピーを楽しむための基本ルールです。
- 精油の原液を直接肌に触れさせない
- 精油を飲用しない
- 使用濃度を守る
- 保管場所、保管方法を守る
- 光毒性に注意
- 皮膚刺激を起こす精油に注意
- 犬への使用に向かない精油を把握する
- 持病がある、妊娠中の犬、老犬への使用には注意する
- 6ヶ月未満の子犬には使用しない
一つずつ解説していきます。
1:精油の原液を直接肌に触れさせない
アロマテラピーで用いる精油は、植物に含まれる有機化合物を高濃度に濃縮したものです。そのためいくら穏やかな成分であっても非常に濃い状態で肌につくとトラブルの原因になる場合があります。
「植物由来でやさしい」は、一般的によく用いられるキャッチコピーですがが、植物全体を見渡すと決して植物は人間に対して優しくありません。
毒を持つ植物も多く、使い方次第では害になる成分を含むものもたくさんあるのです。
そもそも植物は「植物自身が繁栄し、子孫を残す」ために生きています。決して人間の役に立つために存在しているわけではありません。精油に用いられる植物は多くの植物の中から人間が改良を加えたり、人間に有益なものを選び出して栽培したりして、人間に有利なものを選りすぐって利用しているといえます。
そうして選び抜いた植物でさえ使い方によっては害になる成分を含む場合があり、その視点からみると精油は決して植物由来の優しい物質とはいえません。
このような説明を読むと少し怖いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、誤った理解のまま精油を扱い、その結果皮膚トラブルなど望まない不快な目に遭うよりも
「精油は濃縮されたものなので直接そのまま肌につけるとトラブルになる場合もある。成分によってはさらに注意が必要なものもある」
という慎重な姿勢で臨む方が安全です。
2:精油を飲用しない
精油は日本では雑貨扱いです。食品ではありません。また精油の引用を進める考え方も一部ありますが、専門知識がないまま飲用すると消化器を荒らしたり、大量の精油成分が消化器から吸収されることで健康を害する可能性があります。
そのため犬へ精油を飲ませることはしないよう注意しましょう。
3:使用濃度を守る
犬への精油の使用量は人間の1/4〜1/2程度です。
人間用のアロマを使った手作り化粧品で「直接肌に触れるもの」の場合、精油濃度は0.5%〜1%の範囲内が推奨されます。AEAJによれば、植物オイルで精油を希釈しトリートメント(精油を薄く皮膚に伸ばし、マッサージなどを行うこと)に使用する場合は、顔用0.5%以下、ボディ用1%以下を推奨しています。
引用元:AEAJ アロマテラピーの楽しみ方
https://www.aromakankyo.or.jp/basics/howto/
これを基準に考えると、犬の体に吹きかけるボディスプレーや肉球ケアのクリームなどは精油濃度0.25%以下が望ましい基準となります。
精油瓶に付属しているドロッパーは、多くの場合1滴=0.05ml(*)に設定されています。
*ただしメーカーによって違いがあるため、要確認。
【精油濃度0.25%の犬用アロマスプレーをどう作る?】
ドロッパー1滴を0.05mlと考えた場合、100mlの水に対し精油を5滴加えると、ちょうど濃度0.25%になります。
精油:0.05×5=0.25ml
水:100ml
濃度:0.25÷100=0.0025 → パーセントに直すと0.25%
*厳密には溶液全体は100+0.25なので、0.25÷(100+0.25)ですが、計算が複雑になるのと計算結果も誤差の範囲内でカバーできる数値につき、わかりやすい方法での計算をご紹介しています。
犬は優れた嗅覚を持つ動物です。そのため少量の精油でも十分にリラクゼーションなどの効果を得られます。なので上記の使用量を目安に考えてみてください。
4:精油の保管場所、保管方法を守る
精油は日光、湿度、温度、酸素の影響を受けやすい物質です。そのため直射日光を避け、冷暗所に保存するのが基本です。精油が入っている容器はブルー、茶色、緑色など遮光性のあるガラスが多いのはこのためです。
酸化防止のため一度使用を開始した精油は都度しっかりと蓋を閉め、犬の誤飲防止のため、犬の手の届かない場所に保管します。
また精油は状態が良いうちに使い切りたいもの。精油のパッケージなどに記載際れている品質保持期限は未開封時のものです。 そのため開封後はできるだけ早く使い切ることが推奨されます。
一般的には開封後1年以内に使い切るようにとアロマテラピー関連の書籍には記載されますが、保管する環境によっては酸化が早まる場合もあるため開封後はできるだけ早めに使い切ることをお勧めします。
また柑橘系の皮から取れる精油は酸化しやすい成分を多く含むため、開封後半年以内の使い切りが推奨されます。
保存状態によっては使用期限内であっても酸化したり、匂いが変わるなどの変質が起こる場合もあります。そのため精油の匂いや色が少しでも変わっていたり、おかしいと感じたら使用をやめ、安全のために廃棄しましょう。
こうした理由からアロマ初心者の方は、精油を小さい単位で購入することをお勧めします。ラベンダー、オレンジなど初心者向けの精油の3mlサイズからチャレンジすると良いでしょう。
5:光毒性に注意
柑橘の果皮から採れる精油の中には「光毒性」を持つ種類があります。
- ベルガモット
- レモン
- グレープフルーツ
上記の精油は光毒性を持つ成分「ベルガプテン」を含みます。ベルガプテンは紫外線に当たると皮膚トラブルを起こすため、安全を考慮し、犬への使用を避けることをお勧めします。
他方上記の精油からベルガプテンを取り除いた精油も販売されており、これらは光毒性の心配が要りません。
【フロクマリンフリー=Furocoumarin free精油について】
皮膚刺激の元となるベルガプテン(フロクマリン類)を取り除いた精油は「フロクマリンフリー」「Furocoumarin free」「FCF」といった表記が付け加えられ、販売されています。
例えば「レモン(FCF)」「ベルガモット(フロクマリンフリー)」などです。
柑橘系の精油は爽やかな香りが多く、消臭効果も期待できるため、犬の生活空間を清潔に保つルームスプレーなどに使用されます。自宅でスプレーを手作りする際などに、フロクマリンフリー精油を選ぶと安心です。
尚、同じ柑橘系の精油でもオレンジ・スイートは光毒性の心配がありません。またビターオレンジの花から抽出されるネロリも、抽出部位が花であるため光毒性はありません。
6:皮膚刺激を起こす精油に注意
精油の中には、肌に触れると炎症反応や赤みなどの反応を起こす成分を多く含むものがあります。これらの精油は希釈濃度を低くして使用する必要があります。
犬へよく使用される精油で皮膚刺激に注意が必要なもの:
ティーツリー、ペパーミント(ただしてんかんの犬へは使用しない)。
ティーツリーは犬の消臭スプレーやシャンプーなどに使用されるポピュラーな精油ですが、皮膚刺激があるため通常の使用量よりさらに少ない量で始める必要があります。
ペパーミントは虫よけスプレーに使用されますが、やはり皮膚刺激があるため低濃度で使用する必要があります。またてんかんを持病に持つ犬は、ペパーミントの使用自体を避けることをおすすめします。
7:犬へを避けるべき精油を把握する
犬へ使用すべきでない精油を把握し避けることも大切です。ここでは犬に禁忌とされる精油23種をご紹介します。これらの精油は人間でもほぼ使用されないことを付け加えておきます。(心臓に持病がある方は使用不可など、条件付きのものが多くあります)
犬への使用を避けるべき精油23種
アニス / オレガノ / ウィンターグリーン / ウォームシード / カラマス / カンファー / カシア / クローブ / サッサフラス / サンタリナ / ジュニパー(果実より抽出したジュニパー・ベリーは使用可) / セイボリー / タイム / タンジー / バーチ / ビター・アーモンド / ヒソップ / マグワート / マスタード / ラベンダーストエカス / ルー / ワームウッド / ヤロー
なぜこれらの精油が動物へは使用禁止とされ、人間でも条件付きとなるのでしょうか?それらに含まれる成分に着目し解説していきましょう。
【フェノール類】
強力な抗菌作用、抗真菌作用を持つ成分ですが、皮膚刺激が強い成分です。精油の代表成分としては、オイゲノール、チモール、カルバクロールがあります。
オイゲノールはローズ精油などにも含まれる成分ですが、少量であれば温かみのある香りの元となり、スパイシーな心地よさを生み出します。
チモールとカルバクロールはタイム精油に高濃度に含まれます。そのため希釈して使用したとしても皮膚刺激によるリスクが高いため犬への使用には不向きです。
【ケトン類】
刺激作用、粘液溶解作用、神経毒性があります。少量の有益なケトン類を含む精油にペパーミントやシダーウッド・アトラス、ペパーミント、ユーカリなどがあり、すべてのケトン類が有害というわけではありません。ケトン類を含む精油の中にも犬にメリットをもたらすものが多くあります。
他方、ルーのようにメチルノニルケトンを大量に含む精油は犬への使用に向きません。メチルノニルケトンは皮膚刺激が強いうえに、ルーには50~90%と大量に含まれているからです。
上記23種の精油は、「皮膚刺激が強い、または神経毒性が強い成分を高濃度に含む」という理由で犬への使用を回避すべきものです。
8:持病がある、妊娠中の犬、老犬への使用には注意する
現在持病があり通院している犬は、アロマテラピーを始める前にかかりつけ医に相談しましょう。特にてんかんを持病に持つ場合は注意が必要です。
また妊娠中は犬が香りに敏感になっている場合も多く、使用できる精油や使用可能な時期、使用法にも注意が必要です。そのためアロマ初心者の方は、妊娠中の犬にはアロマテラピーを避けることをお勧めします。
老犬は香りの影響を受けやすい場合があります。そのためごく少量の香りから始めましょう。
9:6ヶ月未満の子犬には使用しない
6ヶ月未満の子犬にはアロマテラピー控えましょう。体がまだ十分に成長していない子犬にはアロマテラピーは適しません。


