アロマテラピーを活かした「アロマの虫よけ」を作ってみませんか?
アロマテラピーは植物から抽出した精油を利用し、健康管理やストレスケアに生かす自然療法です。
精油は植物が自分自身を守るために生み出す様々な成分が集まったものです。その中には特定の虫を寄せ付けない作用を持つものがあります。これを「忌避効果」と呼びます。
蚊への忌避効果が期待できる精油3種の紹介
この記事でははじめに蚊への忌避効果が期待できる精油3種をご紹介します。さらにそれらの精油を使用したアロマの虫よけ(蚊避け)ブレンド精油のレシピもご紹介します。
愛犬が良い香りに包まれながら、虫よけ効果も期待できる夏のお役立ちアロマレシピです。ぜひご活用ください。
蚊が嫌う香りその1:ユーカリ・シトリオドラ

ユーカリ・シトリオドラ
【おすすめ用途】虫よけ
ユーカリの一種。レモンに似た柑橘系の香りが特徴です。シトロネラール、シトロネロールという成分がレモン様の香りを生み出しています。この成分を蚊が嫌うことから虫よけに使用されます。
【DEETに代わる蚊忌避剤として】
DEETは市販の虫よけにもよく使用されるポピュラーな昆虫忌避剤です。
アメリカのCDC(The Centers for Disease Control)が低濃度のDEETに代わる安全で効果的な蚊忌避剤としてレモンユーカリ精油を推奨しています。
- 学名:Eucalyptus citriodora
- 抽出部位:葉
- 抽出法:水蒸気蒸留法
- 成分:シトロネラール、シトロネロール
ユーカリ・シトリオドラはレモン・ユーカリの別名で知られます。殺菌効果で知られるティーツリーの仲間です。実際に香りを嗅ぐと、レモンに似たさわやかでフレッシュな芳香を持ちます。
レモン・ユーカリに含まれる「p-menthane-3.8-diols」という成分が蚊を遠ざける効果を発揮することが知られています。
人間や犬にとっては心地よい香りですが、蚊にとっては「いやな香り」として避けられる傾向にあります。
蚊が嫌う香りその2:シトロネラ
シトロネラ
【おすすめ用途】虫よけ・消臭
スリランカなどの熱帯雨林気候に生息する、イネ科の植物であるシトロネラの葉から抽出される精油です。甘く暖かい柑橘系の香りがしますが、少量でもかなり強い匂いがあります。
蚊を寄せ付けない効果は古来より知られており、蚊帳に編み込んで虫よけに利用されてきた歴史があります。
蚊の忌避効果があるため虫よけとして使用される他、消臭スプレーにも利用されるます。
シトロネラは適切な量を用いる分には特に禁忌はありませんが、少量でも香りが強いこと、皮膚に直接つくと刺激が強いため、必ず適切に希釈して利用することが大切です。
- 学名:Cymbopogon nardus
- 抽出部位:葉
- 抽出法:水蒸気蒸留法
- 成分:ゲラニオール、リモネン、シロトネラール、シトロネロール
イネ科の植物「シトロネラ」精油も蚊よけによく用いられます。柑橘系のレモンに似た香りを持ちますが、甘さが強いのが特徴です。
虫よけキャンドルにもよく使用されるおなじみの精油です。
蚊が嫌う香りその3:ペパーミント

ペパーミント (ただし、てんかんの犬は禁忌)
【おすすめ用途】鎮静・ストレスケア
ペパーミントはすっと爽やかな香りが特徴です。歯磨き粉やガムの爽やかな香りでお馴染みです。穏やかな昆虫忌避効果があることも知られています。
ただしペパーミントは過去にてんかん発作を起こした犬には禁忌です。同様に人の場合もてんかんを持病にお持ちの方は避けていただくほうがよいでしょう。
てんかんに禁忌とされる精油は「ケトン類」と呼ばれる成分を多く含みます。ケトン類は神経毒性を持つ成分ですが、多かれ少なかれ実は広範囲の精油に含まれている成分でもあります。
ケトン類の種類も様々で粘液溶解(去痰)作用、抗菌作用、抗ウィルス作用、鎮静作用、鎮痛作用を持つものは、低濃度、安全な利用方法を選択することでその恩恵を受けられる場合もあります。
またアロマ精油が直接の原因となっててんかん発作が起こった、という事例の学術的な報告は見当たりません。しかしながら、ケトン類の性質を考え、てんかん発作を起こす原因になる可能性がゼロではないため、過去に発作を起こしたことのある犬は念のため使用しないことをお勧めします。
- 学名:Mentha piperita
- 抽出部位:全草
- 抽出法:水蒸気蒸留法
- 成分:メントール、メントン、1,8-シネオール
ペパーミントは爽やかな香りが夏にピッタリの精油です。虫よけブレンドに加えること清涼感が出るので人気ですが、ケトン類であるメントンを多く含むため、てんかんを持病にもつ犬は避けた方が安心できます。
マダニへの忌避効果が期待できる精油
マダニはウイルス性の感染症を引き起こすことで、近年特に注意喚起がなされています。
マダニによって感染するSFTS(重症熱性血小板減少症候群)は致死率が約10〜30%と高く、現在画期的な治療法や予防手段が確立されていません。そのため野外でのマダニ対策は必須です。犬、人ともに十分注意する必要があります。
マダニが嫌う香り:ゼラニウム

ゼラニウム
【おすすめ用途】ストレスケア、ダニよけ
ゼラニウムには多くの品種がありますが、精油として用いられるのは「ローズ・ゼラニウム」と呼ばれる香りが特に良いものです。
犬の場合、ダニよけの精油としてもよく知られています。
ローズを思わせる甘くフレッシュな香りが特徴です。フランス領レユニオン島のゼラニウムは「ゲラニオール」の含有量が高く品質が良いことで知られます。ゲラニオールはローズに多く含まれる成分で、その芳香を特徴付ける成分でもあります。
フケ、皮膚のかゆみなどのトラブルにも用いられます。老犬のスキンケアにも最適です。
- 学名:Pelargonium roreum
- 抽出部位:葉と花
- 抽出法:水蒸気蒸留法
- 成分:シトロネロール、ゲラニオール、リナロール
精油をブレンドして、虫よけスプレーを作成しよう
虫よけ精油は単体でも使えますが、数種類をブレンドしてブレンド精油にしておくと便利で使いやすいです。
アロマ専門店では精油用のドロッパー付き遮光瓶が売られています。この中にお好みの精油を混ぜてブレンド精油を作っておくと、さまざまな用途に使えます。
おすすめブレンド精油例
- ユーカリ・シトリオドラ:5滴
- ペパーミント:5滴
- ゼラニウム:5滴
3種の精油を混ぜて、虫よけブレンド精油を作成しておきます。虫よけスプレーを作成する際は、このブレンド精油を使用します。あらかじめブレンド済みなので、スプレー作成時に複数の精油を毎回混ぜる必要がありません。
*てんかんを持病に持つ犬はペパーミントを使用せずに作ってください。
犬に安全に使用できる精油濃度
虫よけスプレーを作成する前に、犬に安全な精油の使用量を知っておきましょう。
犬への精油の使用量は人間の1/4〜1/2程度です。
人間用のアロマを使った手作り化粧品で「直接肌に触れるもの」の場合、精油濃度は0.5%〜1%の範囲内が推奨されます。AEAJによれば、植物オイルで精油を希釈しトリートメント(精油を薄く皮膚に伸ばし、マッサージなどを行うこと)に使用する場合は、顔用0.5%以下、ボディ用1%以下を推奨しています。
引用元:AEAJ アロマテラピーの楽しみ方
https://www.aromakankyo.or.jp/basics/howto/
これを基準に考えると、犬の体に吹きかけるボディスプレーや肉球ケアのクリームなどは精油濃度0.25%以下が望ましい基準となります。
精油瓶に付属しているドロッパーは、多くの場合1滴=0.05ml(*)に設定されています。
*ただしメーカーによって違いがあるため、要確認。
【精油濃度0.25%の犬用アロマスプレーをどう作る?】
ドロッパー1滴を0.05mlと考えた場合、100mlの水に対し精油を5滴加えると、ちょうど濃度0.25%になります。
精油:0.05×5=0.25ml
水:100ml
濃度:0.25÷100=0.0025 → パーセントに直すと0.25%
*厳密には溶液全体は100+0.25なので、0.25÷(100+0.25)ですが、計算が複雑になるのと計算結果も誤差の範囲内でカバーできる数値につき、わかりやすい方法での計算をご紹介しています。
犬は優れた嗅覚を持つ動物です。そのため少量の精油でも十分にリラクゼーションなどの効果を得られます。なので上記の使用量を目安に考えてみてください。
犬用アロマスプレー作成時の注意点
人間向けのアロマスプレー作成の場合、無水エタノールを加えて精油と水をなじませ均一に拡散させる方法が取られます。しかしながらアルコールを含んだスプレーを犬に体に吹き付けることは、犬の健康に影響を与える危険性があります。
そのため犬用のアロマスプレーの場合は、無水エタノールを使用しません。水と精油を直接混ぜ、使用前に必ずスプレーを良く振ってください。
犬用アロマスプレーの作り方
材料:
- 水:100cc(精製水、なければ水道水でも可)
- お好みの精油:5滴
- 遮光タイプのスプレー容器(アロマ専門店などで購入可能)
作り方:
- スプレー容器に精油を入れる
- 容器に水を入れる
- よく振って精油と水を混ぜる
使用方法と注意点
犬の目、肛門周りを避け、犬の全身にスプレーします。精油は揮発性のため犬の体には長く残りません。外出先で長時間使用する場合は、2時間おきにスプレーするのがおすすめです。
保存期間:
スプレーは作成後、2週間以内を目安に使い切るようにします。2週間以内でも匂いが変わったなど変質が認められる場合は使用を中止します。
スプレーが苦手な子には「虫よけバンダナ」を

スプレーのシュッと言う音が苦手な子もいます。そんなときは精油を1〜2滴布につけて犬の首に巻く虫よけバンダナがおすすめです。
*精油を垂らした跡が残る場合があります。目立たない色のバンダナを選ぶか、汚れても洗濯できるタイプを選んでください。
なぜ犬の害虫対策が必要なの? 犬を感染症や不快な症状から守ろう
そもそもなぜ、夏の害虫対策が必要なのでしょうか?
理由は重篤な感染症の予防にあります。
蚊がもたらす病気その1:フィラリア症
蚊が媒介する病気は様々です。代表はフィラリア症です。
フィラリアは別名「犬糸状虫」と呼ばれます。その名の通り、糸状の姿をした虫です。
フィラアリア症は犬が蚊に刺されることにより、体内にフィラリアの幼虫であるミクロフィラリアが侵入することで起こります。ミクロフィラリアはフィラリアの幼体です。
ミクロフィラリアが成長を続け成虫になると、厄介なことに犬の心臓や肺動脈に住み着きます。そこで卵を産み、子孫を増やします。
そうなる前に薬を飲み、ミクロフィラリアを殺すことでフィラリアが生体になることを防ぐことができます。皆さんが春を迎えると動物病院でフィラリア抗体検査を受け、投薬を開始するのはこのためです。
フィラリア症は投薬で確実に防げる病気です。しっかりと投薬を行いましょう。
蚊がもたらす病気その2:アレルギー性皮膚炎
蚊に刺されることで犬がアレルギー性皮膚炎を起こす場合があります。これは蚊の唾液に対してアレルギー症状が起きるもので、皮膚の赤みや痒みの他、顔全体が腫れる、呼吸困難などの重篤な反応が出る場合もあります。
対策としては蚊に刺されないことが一番ですので、虫よけスプレーを利用するほか、蚊の多いエリアの散歩を避けるなどの対応も効果的です。
マダニがもたらす病気その1:重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は近年特に注目される、マダニが媒介する重篤な感染症です。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは?
発熱、消化器症状(嘔気、嘔吐、腹痛、下痢、下血)、腹痛、筋肉痛、神経症状、リンパ節の腫れ、出血症状などを伴う感染症で、人・犬共に感染します。
予防ワクチン、効果的な治療法(※)は現時点で確立されておらず、感染した場合は対処療法となります。
感染した場合、致死率は人で約30%、犬で約40%ともいわれます。
SFTSに感染した犬から人に感染する場合もあるため注意が必要です。
※人間に対しては、日本国内では抗ウイルス薬の使用が承認されています。
参考:
厚生労働省 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトホームページ SFTS発症動物について(ネコ, イヌを中心に)
https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/8988-473r06.html
SFTSの予防はマダニに噛まれないことです。虫よけスプレーを適切に使用するほか、マダニが生息する草むらを避けて散歩をする、帰宅後は全身をチェックしマダニがいないかを確認することも重要です。
動物病院では毎年、多くの犬がマダニに噛まれたことを理由に来院します。そのためどのエリアにマダニが多いかを把握しています。診察の際、獣医師や動物看護師の方へたずねて情報収集するのもマダニ対策に役立ちます。
マダニがもたらす病気その2:ライム病
ライム病はマダニを介して犬がボレリア菌に感染することで起こります。
犬の症状では神経症状、発熱、食欲不振などがみられますが、多くの場合症状は軽い点が特徴です。
北海道で特に多くみられる感染症です。北海道に住んでいる犬の飼い主さんや旅行で訪れる際はぜひ注意してください。
まとめ:蚊やマダニが犬にもたらす感染症を正しく知り、予防しよう
蚊やマダニがもたらす感染症には重篤なものもあり、予防が重要です。また多くの場合、人にも感染する病気が多いため、犬の完全対策は、そのまま飼い主さんを守ることにもつながります。
愛犬の健康を守るために、ぜひアロマの虫よけを活用してください。


